会長 深田一弥の異見!

2023年2月6日

EV時代は来るのか

 これからは気候温暖化懸念から自動車はEV(二次電池搭載しモーター駆動で走る)の時代だとよく言われる。最近、世界各地のモーターショウはEV花盛りと言われ、二酸化炭素を排出するガソリンやディーゼルで走る車は肩身が狭いようだ。アメリカの各州やEU圏内の各国さらに自動車後進国と言われていた中国までもが2035年までハイブリッド含む内燃機関自動車販売禁止を法律で定めていると言う。

 EVは昔からあったが、電池の能力から長時間や長距離走行が困難だったので、排気ガス汚染を嫌う極めて限定的な場所でしか利用されてこなかった。しかし、数年前からアメリカでテスラと言うベンチャー企業がEVを発表した。初期のテスラはパナソニックの乾電池を多数詰めたパックを電源としていたと言う。走行距離も従来のEVよりも長く200㎞以上もあり、またデザインもかつての英国のスポーツカーに似て、いよいよEVも実用化とセンセーショナルな出だしであった。

 我が国では三菱が軽自動車の車体をEV化したアイミーブを発表したが走行距離も60㎞程度と短く、その後日産がリーフを発売、走行距離も200㎞近くになったものの、やはりガソリンやディーゼルには勝てず、需要は少数のマニアに限られていた。

 そんな中、テスラは快調に販売実績を上げ、かつ技術革新も進め1回充電での走行距離が500㎞を超えるまでになった。生産拠点を中国に移し、電池も中国製を使用し、価格もかなりリーゾナブルまでなってきた。従来の自動車メーカーは、危機感を持ってきてEUの名だたるメーカーも一斉にEVを発表するようになった。

 しかし、優れたハイブリッドシステムを持つトヨタは社長自ら、EVは今後も自動車の主流にはならないとの信念からEV化には及び腰とみられていた。しかし、このような世界の傾向もあり、漸く重い腰を上げ、2030年までに30種類のEVを発表するとした。

 これでトヨタもEVに梶を切ったかと思われたがそうでなく、選択肢の一つとして開発したようだ。トヨタは水素を使った燃料電池車、また水素そのものを燃焼させる水素エンジン車も開発していて、全方向に、どれが将来の主流になるのかを満を持して待っているようだ。

 ところが今、EV化の潮流に暗雲が兆している、そもそもEVは内燃機関の車に比較して製造コストが高い、それは高出力のモーターにはネオジウム、また、電池はリチュウムと言うようにレアアースが必須でこれの産出地は世界的に偏っている。特に中国での生産量が多く、中国は今後益々価格をつり上げてくる懸念が大である。またレアアース産出地では公害問題も大きい。さらにここに来て電力価格の高騰だ。

 もし世界がEVだけになったらどれほどの発電所が必要になるか、それも全てがゼロエミッションは無理で、火力、原子力となり時代に逆行してしまう懸念もある。また、大雪で道路渋滞になり、電池切れの車が多数発生したら、どうする。ガソリンや軽油ならタンクローリー出動で解決するが、EVにはどんな対応をするのか?

 こういう状況からアメリカのある州ではEVの発売を制限するところも出てきたと聞いているし、ドイツのある有名自動車メーカーはトヨタの方針に倣うところも出てきたようだ。技術的なことには疎いのに地球温暖化阻止と言う名目だけでEV化を推進しようとする無知な政治家達に翻弄されてはならないしそれを持ち上げているメデイアの責任も大きい。


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