会長 深田一弥の異見!

2025年7月2日

消費税減税に経済活性効果がないのは本当なのか?

 参議院議員選挙を間近に控えて、各党は選挙目当てのスローガン作りに躍起となっている。昨年の衆議院議員選挙の際は、103万円の壁を破ろうと主張した国民民主党が躍進したことが、意外と財務省の壁が厚く、結果は123万円プラスアルファで終わってしまった。そうしているうちに米の価格が高騰してこれも政治問題化するかと思ったが備蓄米放出で一応の決着を見た。

 今年に入ってから、経済が一向に良くならず市民生活も厳しいままなので各党は消費税減税を主張し出した。当初は石破総理も消費税について何らか考慮していることを言い、同じ与党の公明党も消費税減税を掲げたが、財務省からきつい説明を受けたからか。まず自民党の森山幹事長が消費税減税はあり得ないと明言した途端に腰砕けになってしまい、石破総理も公明党も消費税減税はさっさと引っ込めてしまった。 

 そんな中、6月の日曜、BSフジで田原総一朗司会の「朝まで生テレビ」を見た。チャンネルをひねっていたらたまたまだったので途中からの視聴になってしまったが。与党、野党の各議員がパネリストとして出席していた。バブル崩壊後30年でアベノミクスがあり、黒田日銀総裁の超金融緩和政策があったにも関わらず一向に景気は良くならない。どうすれば良いのかとの課題だったと思う。

 野党の議員は一様に消費税減税を挙げていた。一定期間食品にゼロ税率というのが立憲民主党、全て5%の税率というのは国民民主党、共産党はまずは全て5%の税率にし、いずれ消費税は廃止、その他の野党も多かれ少なかれ消費税減税すべきとの大合唱だった。自民党は一時給付金支給、公明党は消費税減税も含ませながらやはり自民党に準じて一時給付金と、野党の消費税減税コールに対してどうも旗色が悪いのが政権与党の自民と公明だった。

 すると突然、指名されないのにコメンティーターとして出席していた経済評論家の加谷珪一氏が、消費税を減税しても経済活性効果がないのは経済理論として確立している。それなのに野党の皆さんは経済理論に反して消費税減税を主張している根拠は何なのかと発言した。すると今まで威勢良く発言していた野党の各議員は黙ってしまった。司会は次の話題に移ってしまったので、いかにも加谷氏の発言が正鵠を得ていて野党の各議員の主張を論破してしまった印象を与えてしまった。

 ところで加谷氏の言う「消費税減税に経済活性効果がないと言う経済理論」は果たして本当か私は疑問に思う。何故なら、消費税の税率が上がるたびに我が国経済の腰折れがあった事実をどう捉えるのか。また消費税は今まで減税したことがないのに消費税減税に経済活性効果がないと言う理論は本当にあるのか。

 恐らく加谷氏は欧州型付加価値税が念頭にあり、欧州型付加価値税の税率を下げてもそれほど経済活性効果が無かったことをもって消費税減税に経済活性効果がないと言ったのではないか。欧州型付加価値税と我が国消費税の決定的な違いは税の消費者負担が明確になっているかいないかなのだ。欧州型付加価値税はあくまでも企業課税であり、それを消費者に転嫁するか否かは企業に任されている。だから欧州の消費者は我が国の消費者と異なり、税負担感をそれほど持っていない。我が国消費税は消費者がもろに負担しているのが明白だ。

 いかにも正論と思われた加谷氏の意見にこのような間違いがあるのを出席議員の誰も指摘することが出来なかった。


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