会長 深田一弥の異見!

2025年6月3日

米を選挙に利用するな

 ついこの間まで、5キロで2千円台だった米が、いつの間にか4千円台にまでなったとは正に驚きだ。最近は大豊作とは言えないまでも大雨などの被害はあったものの、普通の出来だったと思うが、諸物価が超円安の影響でドンドン値上がりしていくに連れて、輸入とあまり関係ない米価まで上がってしまったのは別の原因だろう。

 流通のどこかの段階で滞留しているとか、インバウンドで外国人がご飯を食べるようになったとか色々言われているが、知人の米卸業者社長に聞くと、元々生産量が足りていないのだそうだ。長年の減反政策と農業従事者の高齢化で廃業も増えていることが大きいとのことだ。

 私の住む東北ではスーパーの店頭から米が無くなると言うことはないが、例えば道の駅などでは米は殆ど見かけなくなった。米不足で消費者からの悲鳴をメディアが取り上げたことで政府も重い腰を上げて政府備蓄米を放出することを決めた。これで米価が下がるかと思ったが、ほぼ全量をJAが落札しそれから一次、二次の卸を通じて店に並ぶ頃にはそれほど価格は下がらなかった。

 当時の大臣が舌禍で退任し、代わった小泉進次郎大臣は歯切れ良く「備蓄米は2千円で」とぶち上げた。何しろこのままでは米問題を引きずってはそうでなくても支持率が低迷している自民党がすぐに控えている参議院議員選挙でさらに厳しいことになると思ったのだろう。若くて俳優バリの若いイケメンが就任するなり「2千円」を連呼することで、主婦層は大喜び、テレビが連日報道するのものだから自民党執行部は「してやったり」と喜んでいるのだろう。

 しかし、その備蓄米を競争入札ではなく、大手流通業者の随意契約で売り渡すと言うことは、元々米販売の地元スーパーやいわゆる街のお米屋さんには回ってこない。そこで小泉大臣は備蓄米を次は中小規模の小売店にも売り渡すことを宣言した。しかし、急にそんなことを言われても備蓄米を店頭に出すには、精米(単に精米機に入れるのでなく、石などの混入物や不良米をとりのぞくことも)し、5キロに分けて袋に入れてラベルを貼るなどの作業が必要で、それができる卸業者を通す必要があるのだ。

 小泉大臣は父親と同様に、あまり考えもせずに受けの良いワンフレーズを言うだけの人のようだ。国会の場で、野党議員から攻撃されてタジタジとなっている。何せ米に「減価償却」という人なのだ。物事を深く考えての主張とはとても思えない。自民党は、彼があまりボロを出さないうちに参議院選挙に突入と思ったのだろうがそうはうまくいかない。元々彼を大臣にした動機が不純なのだ。

 彼は農林関係議員でありながら、農協解体の考えを持っていると言う。丁度父親の小泉純一郎氏が「郵政民営化」のワンフレーズに国民が、踊らされて自民党は選挙に大勝し、郵政民営化されたものの、結果として国民のためになったかどうか疑問である。同じように場合によっては7月の参議院議員選挙は衆議院も同時に解散総選挙で小泉効果をもって大勝し、場合によっては人気の高い彼を首相にしようとしているのではないかとも言われている。

 確かに農協は既に制度疲労しており改革は必要ではあろう。農協の持つ巨額の資金は郵政簡保のように外国金融業界にとっては美味しいのだろう。しかし地方では郵便局が無くなって金融は農協に頼っている地域も多い。いずれにしても小泉大臣起用で自民党の支持率アップが成功するのか見ものである。


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