どちらが無礼だったか?
去る2月28日、ワシントンにトランプ大統領を訪問したウクライナのゼレンスキー大統領との会談は物別れに終わったことがメディアに流され世界中が驚いた。ロシアのウクライナ侵攻から既に3年を経過した。アメリカと欧州各国もウクライナに大量の武器援助をしてきたが、ロシアは豊富な武器生産力と兵数それに北朝鮮兵まで導入してウクライナの奮戦にも関わらず一向に攻撃力が弱まっていない。
そこにアメリカは大統領がバイデンからトランプになり、どちらかと言うとロシアよりの考えで停戦をしようと乗り出してきた。ゼレンスキーは一方的に攻め込んできたロシアが悪いのにアメリカはウクライナの頭越しにロシアよりの停戦を押し付けてくるのではと懸念した。
ただ、トランプは商売人なのでウクライナにあるレアメタルをはじめとする豊富な鉱物資源とバーター取引なら武器供与を続けることを明言していた。ホワイトハウス内で記者団を前にして、対面した二人は先ず、トランプは鉱物資源取引の話しを始めた。それに対してゼレンスキーは先ず安全保障が先でそれが担保されることが必要との考えを強調した。トランプは安全保障については言葉を濁した。
トランプの腹は、安全保障を先に言うとロシアを刺激する。アメリカ企業がウクライナで鉱物資源開発をしていたら、ロシアは攻撃しづらい。だからトランプは言外でそれを分かって欲しかったのではないか。ゼレンスキーは、どうしても鉱物資源開発の前に安全保障担保を明言して欲しかった。
それを側で聞いていたヴァンス副大統領がそれは外交交渉で行うべきだと口にした。それにゼレンスキーは外交交渉とは何だ、プーチンは約束を守る男でない。何度も煮え湯を飲まされてきた。あんたはそれを知らないからそんなことを言うのだとかみついた。ヴァンスはこの場でそんなことを言うのは失礼だと言った。ゼレンスキーはそれに対してヴァンスをさらに説得しようとした。それを聞いたトランプは怒ってこのような場で無礼なことを言うな、アメリカは今まで多大な援助をしてきたのに感謝の言葉もないのかと、記者団を前にしてあられもない言い争いになってしまった。
アメリカ政府は、ゼレンスキーがアメリカ大統領の前で大変無礼であったと公表した。日本の評論家達はどちらかと言うと援助を受けているゼレンスキーに落ち度があると言っている。中にはホワイトハウスに入るのに正装していかなかったのもトランプの怒りを買ったなどと見当違いを言う者も居た。
ところで一方は援助を受けている側とは言え、大統領同士の話し合いに副大統領が割って入ったのは礼を欠いている。ヴァンスには大国意識で副大統領でもウクライナ程度の大統領より上だと思ったのではないか。彼がゼレンスキーに火をつけた。あの場では、先ずヴァンスが無礼だった。それに乗ってしまったゼレンスキーも政治経験の浅さが出てしまった。それを誰も言わないのはアメリカへの忖度ではないか。
元々ウクライナは親ロ政権であったのに民主化運動でその大統領を追放しゼレンスキーを大統領にしたのには間違いなくアメリカによる何らかの介入があってのことだろう。それで隣国ウクライナがこのままでは西欧諸国に飲み込まれるのではと危惧したプーチンが侵攻を決断したと思える。ウクライナ国民してみればアメリカの意向に沿って民主化したのにトランプにはしごを外されかけたと思っているのではないか。