会長 深田一弥の異見!

2019年8月17日

8月15日に思う

 今年も終戦記念日という大東亜戦争敗戦の日がやってきた。テレビや新聞等のメデイアは盛んに戦争特集を報じている。その記事の殆どが、元日本兵による戦いの悲惨さと敗戦後の捕虜体験であり、一般市民からは空襲体験や戦後の食糧不足の中での生活の苦しさなどである。

 あの戦争は初戦こそ連戦連勝だが、それは相手国に備えがなかっただけで、その後は旧軍の補給体制の杜撰さから常に武器と食料不足の中での戦いで戦死者230万人の6割以上が餓死という悲惨さと、それを糊塗するために特攻と言う確実死の攻撃を強制されたこと、敗戦直後はソ連に抑留されシベリアなど極寒の地で非人道的な扱いをされたことに代表される。

 一般市民は原爆を筆頭に恐ろしい空襲体験そして沖縄では市民も戦闘に参加させられ多くの戦死者を出したこと。戦後は大陸からの引き揚げ時の凄惨さや、戦後の食糧不足で苦労したことに尽きるようだ。

 何せ我が国政府は伝統的に都合の悪い記録は処分して公式記録は殆ど残っていないことから、口伝えでも活字にしておくことは必要であろう。また戦争体験者は兵士も一般市民も高齢となり、記憶も曖昧になりつつあり、メデイアが記録しておくことは確かに意味があることだ。しかし、私が不満に思うのは、何故英米と開戦にまで至ったのか、そしてその責任者は誰なのかについて総括していないことである。それはメディアの報道についても言える。

 まだ40歳代の元気の良いある地方議会議員と話をした。その議員は憲法改正すべきと盛んに言う。今、我が国を取り巻く中露韓朝いずれも反日国ばかりでこのままでは大変であり憲法改正し自衛隊を正式に軍とすべきと言う。何故、それに反対するのか、そういう反日思想は許さないと強硬だ。

 私は言った。あなたの意見は正論ではある。しかし、何故、それに反対する特に高齢の人達が多いのか考えてみたことがあるか。彼らは決して反日思想ではない。かつて訳が分からないうちに戦争に行かされ凄惨な体験をしたり、一般市民として戦中戦後大変厳しい生活を強いられた経験から、またそうなる心配でまだ今の方が良いといっているだけだ。そうでないとまたいつの間にか戦争に巻き込まれてしまうのではとの懸念を持っている。そうならないためにはあの戦争(大東亜戦争)の総括をすべきなのにそれをしていないからなのだと。

 そう言ったらその議員は「総括ですか。それは極東軍事裁判(東京裁判)で済んでいるんではないですか?」私は「あんな戦勝国の恨みをはらすだけの裁判が総括ではない。我が国独自できちんと開戦原因と責任者を明確にすることだよ。」何故それが出来ないのかと言うと恐らく一部の人が望まない偉い人が戦争責任者になってしまう懸念があるからではないのか?

 我が国が当時の国力を考えずに多数の国々と戦争を始めたのは全く無謀である。軍が当時気鋭の経済学者達を集めて研究し、我が国の国力では英米と戦っても勝てないと公表された資料があるにも関わらず、上層部が無視したこと。米国との海戦シュミレーションをしたところ勝利の確率が極めて低かったが、「戦いはやってみなければ分からない」と言った幹部が居たとも言う。当時のことを色々調べてみると戦略的な思考が全くなくて英米と開戦している。

 憲法改正の前にはあの戦争の総括を絶対にすべきで、そうしないとエリート軍人官僚達はまた国を誤る行動に至る懸念は大だと考えざるを得ない。


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