消費税を廃止して企業付加価値税を
衆議院総選挙が終わり、予想通り政権与党が敗北した。意外だったのは、国民民主党と令和新選組が大健闘だったことである。立憲民主党は反自民・公明の受け皿になったのは分かるが、意外と比例票は伸びていなかった。前述の両党は比例票の伸びがすごく特に国民民主は比例の議席があるのに立候補者がいなかったために他党に3席も譲ってしまった。
両党が伸びた理由は、選挙公約が具体的だったことが要因だという。国民民主は「市民の手取りを増やすこと」、令和新選組は「消費税廃止か税率低減」と明確であった。消費税減税を早々に下してしまった立憲民主とはここが違った。しかし、消費税廃止や減税を言う論に対して、それでは他に税源を何に求めるのかも不明確で幼稚な論だと反論する意見がある。それに対して、不足分を国債大量発行でまかなっても日本の国債市場はびくともしないという考えや、そんなことをしたらハイパーインフレになると強硬に反対する意見もある。
ところで何故消費税に対する反発があるかと言うと、本来税金とは負担能力がある者が払うという応能負担が原則だが、消費税は子供や所得のない者も負担せざるを得ない。それに消費税率を上げる度に景気が悪化してきたのは事実である。それでも経団連は国の財政状態を考えると消費税率をもっと上げるべきだと提言している。
経団連加入企業の大企業は、消費税をほぼ100%転嫁出来るので負担は全くと言ってよいほど無い。消費税率をこの先ドンドン上げて行けばさらに庶民の生活は大変になってしまい、景気回復など無理になるだろう。庶民の消費が盛んになってこそ景気が良くなるのだし、少数の金持ちだけが潤って消費しても経済効果はそれほどではないのだ。
そこで私は、消費税はここで思い切って廃止し、企業の付加価値に課税する、企業付加価値税を導入すべきだと思う。計算は難しくなく、現行消費税の納付計算をそのまま援用していけば良い。例えば企業付加価値額の10%を納付すれば良い。それでは企業負担が大変だというかも知れないが、その額は企業が売価に反映して転嫁すれば良い。付加価値額の10%だから、業種によって異なるが、付加価値つまり粗利益率20%の業種なら売価なら2%程度で済む。粗利益率60%の高付加価値業種でも売価の6%で済む。それを転嫁しても消費者は、売価に付加価値税が含んでいるか否かは知らずに、あるいは知っていたとしても負担感は殆どない。
そんなことで消費税が現在納付されている約25兆円を確保できるのかというと、それは心配ない。我が国の企業が稼ぐ付加価値額は約300兆円である。その中には消費税の非課税取引もあるだろうから、それを除いたとしてもその10%だから25兆円以上の税収は確保できる。欧州では付加価値税と言うのに我が国は消費税と言っているのは、我が国消費税は消費者負担が明確になっているからである。税率が上がると確実に売価に反映される。欧州型付加価値税は、たとえ税率が上がっても、内税なので消費者の理解が得られないと思うと企業が負担する。従って欧州の消費者は高い税率でも消費者はそれほど税の負担は感じないでいる。
企業間はインボイスのやり取りで税負担は明確になっている。私の提唱する企業付加価値税はインボイスも必要ないし、現行消費税のように課税売上と課税仕入れの差の10%を計算し、納付するだけで良いので、簡素でしかも応能負担の原則にも合致する。