2014年の年明けにあたって
新年明けましておめでとうございます。今年こそ良い年であって欲しいと切に願います。
昨年1年は安倍首相で明け、安倍首相で終わった。一昨年末の総選挙で政権を奪還した自民党は安倍首相を立て、アベノミクスで長期低迷していた経済を建て直すと華々しく登場した。日銀が異次元の量的緩和を行い、円安に導き輸出を伸長させ企業の生産を増やし、低金利の継続で設備投資意欲を活性化させる。企業業績アップにともない賃金を上げ、個人消費を増やす。それでデフレからインフレに転じ景気が良くなるとのことであった。
最近、輸出企業の業績は改善し、株式市場は上昇傾向が続いている。これで、大手メディアはアベノミクスが成功しつつあるとしている。果たしてそうだろうか? 輸出企業の業績が好転しているが殆ど円安効果の利益であり輸出量はそれほど伸びていない。従って輸出企業の下請け企業の業績は好転してないし、設備投資も伸びない。アベノミクスの物価上昇目標は2%だが、円安で輸入品の価格は上昇しているのに達成していない。それどころか原材料の多くが輸入品であるため生活必需品価格が上がり家計を苦しめているし、価格決定権をもたない中小企業の経営を圧迫している。これではアベノミクスも小泉改革同様、格差を助長させているだけではないか?株高で喜んでいるのは金融資産の保有が多い企業や個人富裕層で贅沢品の需要が高いのはその証左だ。
その上、今年4月からは消費税率もアップし、価格転嫁のできる大企業は別として、そうでない中小企業そして最終負担者の個人消費者には辛いこととなる。こんな状況で給与を上げろとは噴飯ものだ。ついこの前まで日本は賃金水準が高いので製品価額が高くなり輸出競争力が弱くなったと言われていたはずだが?
また昨年はオリンピック招致決定もあるが、以前この異見に書いたがこれで被災地復興がまた遅くなってしまう懸念が大きい。さらに年末近くなって法案が成立した「特定秘密保護法」は、確かに国家機密を守るとの法の趣旨は結構だが、悪用されない措置を講じておくべきだった。米国に急かされたためとは思うが余りに拙速しすぎ。とかく官僚は必ず自分たちの都合が良いように法案を作る。もっと吟味する時間が必要だった。
安倍首相はこれで米国にも顔を立てたと安心したのか、それこそ年末ギリギリに靖国参拝をした。「国のために戦った戦没者を追悼するのに何が悪い」と言うが、以前にもこの異見に書いたように、靖国神社はそれを素直に受け取れない要素があまりに多過ぎる。今回の件は、ジャーナリストS女史や台湾出身K女史等彼の取り巻き達にそそのかされたのかも知れない。本人もあまりの反響に驚いているのでは。ここは私人にとどめておくべきだった。
ところで何度も書くが、金融政策頼みの景気対策はリーマンショックで分かるように何れ破綻する。景気対策は、一部大企業や個人富裕層の消費だけでは駄目で、一般庶民の懐そして中小企業の業績が改善しないといけない。それには内需拡大が必要だ。例えば受けた企業がまっとうな利益の取れる仕組みでの公共事業対策、特に、眼前にある震災復興対策を積極的かつ大規模に行うことが必要なのだ。それに官庁は何と批判されようとも現状のように受けた企業が赤字になるのが明白な安値発注は絶対にしないこと。それに関わる企業全てが利益を出してこそ景気が好転するのだ。ここに早く気が付いて欲しい。