会長 深田一弥の異見!

2022年8月1日

食料品ゼロ税率で超円安を止めろ

 超円安が止まらない。この欄に私が4月に書いた際、あるエコノミストが1ドル130円になるのではとの見解を披露したが、実際は何と易々と130円を突破し間もなく140円台になるのではとも思われる。何故こうなったかは以前にも述べたように、日銀が低金利政策と大量の貨幣流通をさせる金融緩和策を継続させていることとそれでも我が国経済が一向にデフレ不況から脱却できないことによる。つまり円の国際的な価値がドンドン低下している。国際為替市場では金利の安い円を借りて、価値が急上昇のドルを買うという現象もあるらしい。

 日銀が超金融緩和策を採っているのは、黒田総裁になって、アベノミクスの第一の矢に合わせて、これにより我が国の長く続いているデフレ景気を止めて消費者物価指数を目標の2%以上達成しようとしたからだ。これで中央銀行の金融政策は政府から独立して行うという伝統的な考えを我が国日銀は放棄したのだ。それで目標を達成したかと言うと、当初は円高基調が一転して円安になり、当時の安倍首相は「それみたことか」と満面の笑みで話していた。しかし、その後一向に景気は回復せず消費者物価指数は上がらず日銀はさらに金利を下げマイナス金利にまでにし、国債や株式を大量に購入して貨幣供給を増やしたが10年を経過しても目標には達しなかった。しかし、この超金融緩和政策のために超円安というマイナス効果が出てきてしまった。

 日銀がこれを止めるには超金融緩和策を変更することだが、それをすれば景気が一向に回復していないのにさらなる不況に陥る懸念がある。金利が上がることで借入金の多い企業や住宅ローンを組んでいる市民の懐が厳しくなり、それでなくても需要が増えないのに経済は益々萎んでしまう。日銀としてはもう打つ手がないのだ。つまり超円安を止めるには政府による景気対策しかないのに、岸田政権は単に口頭で「超円安は困る」と言うだけでは何らの効果は出てこない。

 参院選挙が終わったばかりだが、自民党の圧勝に終わった。選挙期間中野党は一斉に「消費税率引き下げ」あるいは「消費税廃止」を言っていたが、消費税を下げても景気回復効果はないと言う財務官僚の言葉をマスコミは検証無くそのまま流すモノだから野党側のプラス効果は全くなかった。私は、消費税率を引き下げれば消費意欲を向上させてある程度の経済活性効果が出てくるのでは思っているし、せめて政府が「消費税率引き下げを検討」とでも言えばアナウンス効果もあり、超円安は若干弱まったのではと固く信じている。

 識者は「コロナで財政支出をこれほど大盤振る舞いしたのにさらに消費税率を下げたらさらに財政逼迫になる」と良く言うが、不況で超円安のままで財政均衡ばかり考えても意味ないのでは?私はやはりここは消費税率に手を付けるしか対策がないと思う。しかし、全ての消費税率を下げるのはやはり財政上難しい。従って現在8%の軽減税率の食料品についてのみゼロ税率にしてはどうかと思う。

 10%税率から食料品を8%にしたことでの歳入減は1兆円との試算なので、ゼロ税率による歳入減少は約4兆円である。これで貧困層と言われる人達は大いに救われるのではと思うし、アナウンス効果はかなり大きいと思う。この程度の事が何故どの野党も言えなかったのかと思うが、要は野党も消費税率減税はどうせ出来ないだろうと及び腰だから選挙民には流石にそこを見透かされていたのだ。


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