会長 深田一弥の異見!

2023年3月31日

警察による証拠ねつ造疑惑

 今年3月に「袴田事件」の被告人袴田巌氏の2度目の再審請求について、死刑確定事件としては戦後5番目となる再審開始が確定した。彼は無罪になることがほぼ確定である。長らく弟の冤罪を信じてここまで尽力した今90歳のお姉さんには全く頭が下がる。

 一度再審開始決定が棄却されたにも関わらず、今回再審開始が決定されたのには、有罪の証拠である着衣は警察によるねつ造の疑惑があったからだ。厳正公正な捜査機関であるべき警察が証拠ねつ造をするのかと驚くが従来の冤罪事件でも警察のねつ造疑惑は多い。

 我が国は自白が有罪の大きな根拠になっている。被疑者が自白しても、裏付の証拠がないと裁判で有罪に持ち込むには弱い。あいつが犯人なのだから兎に角証拠を作ってしまえとなるのだろう。

 袴田事件とは、1966年6月に静岡県清水市の民家で味噌製造業の一家4人が殺害された強盗殺人放火事件である。容疑者としてかつて従業員であった彼が逮捕起訴され裁判で死刑判決を受けたが、自白は警察に強制されたと長らく冤罪を主張していた。

 かつての死刑確定事件の再審開始で冤罪が確定した中に私が住む宮城県での例に松山事件がある。1955年10月宮城県松山町(現大崎市)で一家4人が殺害された殺人放火事件である。事件後上京した齋藤幸夫氏が逮捕起訴され死刑が確定した。これも警察の誘導で自白させられ証拠物件が後に警察によるねつ造と言われた。 

 再審開始決定を貰うまで四半世紀も真夏や厳冬でも仙台市内の街頭に立ち、再審開始請求への署名願いをしていた齋藤氏の母の姿が今でも目に浮かぶ。冤罪が晴れても彼らのそれまでの人生を取り戻すことは出来ない。

 警察がそんなことをするのは昭和の時代の遺物で現在はないだろうと思うかも知れない。2006年つまり平成18年3月、高知県春野町(高知市)で、国道を横断して右折しようと停止のスクールバスに県警の白バイが突っ込み、運転の巡査長が死亡した事件がある。

 バス運転手と後続車両を運転の校長は事情聴取のため直ちに警察署に連行され、当事者不在のまま、事故前に反対車線を通過した白バイ隊員のみの立会いで現場検証した。結果、バス運転手は、安全確認をせずに国道を横断右折しようと進入し、白バイに気づいて急ブレーキを掛けたとして「安全確認不十分」の有罪となり禁固1年4ヶ月の刑が確定し本人は服役した。

 亡くなった白バイの巡査長は2階級特進、職務中の事故としての退職金、加害車両とされたスクールバスの保険金が遺族に支払われた。しかし時速100km近い高速運転の白バイ警察官が反対車線走行の同僚白バイを見て前方不注意になりぶつかった自損事故の疑いが濃厚。

 裁判でバス運転手は、右折のため横断する道路の安全を確認して進み、反対車線を確認のため停止と主張。バス車内の高校生達も、後続車両の校長もバスの停止を証言していたが一切認められず、事故発生時には既に現場を通過した後であろう白バイ隊員の証言のみが採用された。

 しかも、バスが急停車として道路に付いたタイヤ痕の写真が証拠として採用された。このタイヤ痕が警察によるねつ造疑惑である。身内や組織を守るためにと警察が行った疑いが濃く、決して許されるものでない。

 安全運転をしていた善良な市民が有罪にされた。メデイアは警察の発表を鵜呑みにするのでなくこのような疑惑についてもっと切り込むべきだろう。私は自宅管轄の警察署友の会会員を35年続けているが。


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