会長 深田一弥の異見!

2015年10月19日

消費税軽減税率導入は弱者の為にならない

 消費税で食料品等に軽減税率導入が正論である如き論調が強くなっていて、消費税のある殆どの国で食料品等を軽減税率にしているとの理由も掲げているが、以下に反論する。

・ 軽減税率導入は低所得者や零細業者のためにならない

1.軽減税率導入は標準税率が高い国々

確かに世界で軽減税率を導入している国は多いが、その殆どは標準税率が20%以上の国で、一番低い国でも15%だ。10%で軽減税率導入は煩雑なだけ。税制は簡素に。

2.食料品等に軽減税率導入は高額所得者優遇

消費税は逆進性があると言われており、食料品に軽減税率を適用することはいかにも

 低所得者対策となるかのような錯覚を与える。しかし食料品の購入は、特定の消費性向の人を除き高額所得者の方がより高い品を購入するのが通例。だから高額所得者がより軽減税率のメリットを享受するのは自明の理。どこが低所得者のためと言えるのか。

3.軽減税率導入は小・零細事業者泣かせ

軽減税率導入のデメリットとして経理処理の大変さのみが指摘されているが、経理処理だけではない。流通時点や販売時点での煩雑さも大きい。例えば大規模店が軽減税率適用商品のラベル貼付等を納入業者に義務づけたり、零細店が客に販売する際、軽減税率か標準税率かの判別する手間。経理処理はパソコン導入で煩雑さは低減できるが、これらは人の判断であり手間である。軽減税率を導入している国々では商品毎の軽減税率適用の可否で税務当局と裁判等沢山のトラブルを抱えているのが実態。

4.軽減税率適用競争が起きる

現在、軽減税率を適用しようとしているのは食料品等であるが、今、マスコミが軽減税率導入について反論が起きず、むしろ導入に積極的な論調が強いのは、自らも軽減税率を適用して欲しいからで、他の業界からそういう運動が起きてくることが予測される。

・ 低所得者対策への提案 “事前に食料品等の消費税差額相当額を給付する”

1.1人当たり年間12,000を給付する

低所得者が1ヶ月間に食料品等に支出する金額を1人当たり5万円として、標準税率10%と軽減税率8%との差2%を掛けた1,000円の12ヶ月分を給付する。

2.前年または、前々年の所得により申請して給付を受ける

前年の所得が確定する5月頃に自治体の役場・役所に赴き、申請して給付を受ける。もし1月給付なら、前々年の所得で判断。事前給付なので10%でも痛税感はない。

3.現金給付でなく食料品用商品券で給付する

現金給付だと食料品以外に費消の懸念があり、食料品専用商品券とする。商品券の使用で低所得者が明白となるのを避け、若干のメリットをつけ一般人も購入可とする。

4.この方法は簡単で安上がりである

対象となる低所得層は5千万人として、総予算は6千億円。全員が給付申請するとは限らないので4千から5千億円程度で済む。行政は少し忙しくなるが事業者負担はない。


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