会長 深田一弥の異見!

2025年8月1日

庶民の反乱なのか?

 連休の中日、7月20日投票日の参議院議員選挙は、政権与党の自民党が39人、公明党が8人のみの当選で、非改選議員を入れても参議院の定数248の半数に満たないこととなった。これはある程度選挙期間前から予想されたことであったが、自民党も公明党も有効な対策を打っていなかった。

 一方、野党は消費税減税か廃止を明確に掲げていたことが物価高でも所得が伸びていない庶民から圧倒的な支持を受けていた。特に支持を伸ばした国民民主党は消費税減税に加えて以前からの主張「手取りを増やそう」と言ったし、参政党は反グローバリズムの意見を持っている人や、流入する外国人の無作法に腹を立てている人たちから「日本人ファースト」の主張が熱狂的に受け入れられた。

 与党は令和の米騒動を鎮圧した小泉進次郎農水大臣の人気に頼ったが、彼の支離滅裂な主張などもあってすぐにその人気も萎んでしまった。自民党は給付金を出すと言ったものの消費税減税や廃止の声には何らの効果にはならなかった。

 選挙期間中、危機意識を持った与党は、政府からの圧力なのだろうがメディアを通じて、評論家やコンサルタントから、消費税の減税や、廃止をしたら、国家財政は危機的状況になると必死に訴えさせたものの、庶民感情には勝つことが出来なかった。恐らく与党は、消費税減税となったら財政が大変なことになりますよと財務省からきつく言われて動きがとれなかったのだろう。つまり財務省も彼らを敵に回してしまったのでは。

 今回の参議院議員選挙は今まで政治に無関心だった人でも自分たちが動けば社会が変わるのではと目覚めた者も多かったのではないか。連休の真ん中に投票日を持ってくれば恐らく投票率は低くなり、組織票が取れる自民党や公明党が有利になると思っただろうが、目覚めた彼らは、期日前投票で応え、与党の目論見は空振りに終わった。

 しかし、勝利した野党にはこれから大きな責任が出てくる。消費税減税や廃止した場合の代替財源を明確にしていかないと単なる選挙目当てだけの公約になってしまう。恐らく、高額所得者や大法人への課税強化を主張するのだろうが、それが果たして実現できるのかは疑問である。自民党が大企業からの献金に活動資金を頼っている限り自民党が野党のそのような主張においそれと乗れないのではないか?

 私は何度もこの欄で主張しているように消費税を廃止して欧州型の付加価値税導入を提案したい。欧州型付加価値税なら現行消費税とほぼ同額の税収が見込まれるし、それを価格にどのように転嫁していくかは企業の任意になる。そのため現行消費税のような直接価格に税額分を乗せるのではなく、企業が負担した額だけ乗せるので10%よりは確実に低くなるだろう。

 但し、中小零細企業については負担と転嫁が難しいので何らかの軽減措置は必要となる。消費税率が3%や5%程度に低かった頃はそれほど消費者も負担感を感じなかったものの、8%から10%となり、消費者の重税感を刺激してしまった。経団連と財務省はさらに税率を上げようとしているとの情報もあり、そうなったら庶民生活はさらに厳しいことになってしまう。

 だから野党は消費税減税や廃止の場合の代替案を早く明確にしていかないとそれが実現しなくなってしまい彼らの失望感は大きなものになってしまう。そうなるとまたまた経団連や財務省主導の自公政権に戻ってしまうことをとくと肝に銘じてこれからの行動にして欲しい。


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