民主党の大敗
今般の衆議院議員総選挙は、選挙前から民主党が政権の座から滑り落ちるのは確実視されてはいたがこれほどの惨敗とは?また自民党の勝利も予見はされていたがこれほどの大勝利とは?自民党の大勝は積極支持ではなく、民主党の自滅と第三局勢力トップ達の胡散臭さからの消極支持であろう。民主党の惨敗は今識者が色々論じているが、私は次の点を挙げる。
先ず第1は、彼らは3年前の大勝の要因を認識していない。当時の国民は自民党に飽き飽きしていたこともあるが民主党勝利には選挙巧者の小沢一郎氏の存在が大きかった。それを当選議員達は自分の力量だと錯覚してしまった。その小沢氏が一旦検察の嫌疑対象となると、彼を守ろうとせず、結局彼を追い出す形になった。自ら勝手に出て行った様だが、何故彼が民主党を去らざるを得なかったのか民主党の各議員は自らの胸に手を当ててはどうか?
第2にマスコミの力も大きい。小泉郵政選挙、3年前の選挙、そして今回の選挙を見ても日本国民は結局マスコミの情報でしか判断しない。これは70年前の日米戦争に至った原因の一つでもある。マスコミ情報に揺るがない自前の情報収集能力と判断能力を如何にして養うか、それによりマスコミ誘導の衆愚政治から脱却することが今後の日本再生の鍵である。
第3に、前回選挙は民主党の「マニフェスト」に期待して投票した人も多かったが、それを殆ど実行していない。あげくの果ては財務省の言いなりで消費税増税の音頭を取って野党も巻き込んでしまった。税金は少しでも低い方が良いが、もはや消費税増税しかないことは賢明な国民は皆理解している。しかし、何故、反対するかと言うと、これほどの非常時であるのに公務員の待遇が僅かしか下がっていないことだ。極端を言えば、公務員給与ベースを5割下げるなら国民も消費税増税を我慢できる。年間30兆円の国・地方の公務員給与を5割下げると消費税にすると6%だ。因みに被災地である宮城県職員の今冬のボーナスの平均額は80万円、同じく仙台市職員の平均は78万円だという。いかに脳天気か。公務員制度改革についての民主党への期待外れは大きい。
第4にはこれは民主党に取っては気の毒なことだが、東日本大震災である。村山社会党政権時に阪神淡路大震災があり、どういう訳か非自民政権時に大災害が起きる。もし、これが自民党政権であったらどれほど適切な対応が出来たかは疑問であり、これは民主党にとって不幸としか言えない。被災地復興が遅いことも責められているが、国ができるのは先ず復興予算を用意することであり、実際の復興は被災地の自治体が先頭に立つべきであろう。それが実に遅い。復興遅延は被災地の自治体の責任が大きいのに、これを全て民主党の責任にされてしまった。
第5に解散時期が悪い。師走の特に商工業者の稼ぎ時期に選挙とは、と殆どの商工業者は怒っていた。まして東北や北海道は厳寒期に当り、候補者も応援者も選挙民も苦難を強いられる。私はかつて業界の政治担当であったので義理もあり秋田や青森まで足を延ばしたが悪天候と寒さそして雪道で車を運転していて命の危険すら感じた。これを千葉の温暖な気候の選挙区の野田氏には想像が付かないのだろう。極めて自分勝手な解散であり、これで東北・北海道の多くの民主党議員が議席を失った。
マスコミに惑わされずに小沢氏を出さず、マニフェスト実現努力をしていればこれほどの大敗はなかった。