会長 深田一弥の異見!

2024年4月1日

政治資金パーティー裏金事件

 今、自民党の派閥の政治資金パーティーでの余剰金が派閥所属議員の裏金になっていることが国会での大問題になっている。野党はここぞとばかり岸田首相はじめ自民党のこの件に関係した議員を攻め立てかつ重い処分をすべきといきり立っている。何でこんなことになったのか。

 かつて国会議員への企業からの政治献金が盛んにおこなわれ、これが議員の政府での立場によっては賄賂に認定されることにもなってしまうことがあった。確かリクルート事件が発端となって企業から政治家への直接の献金が問題となった。1994年に政治資金規制強化の改正が行われて企業(労組、その他の団体を含む)献金の受け手は、政党及び政党の政治資金団体だけとなった。

 私は、税理士会に付設する政治連盟の役を長年務めていたが、この改正により本会や税理士会付設の事業組合からの寄付を受けられなくなり、慢性的な資金不足に悩まされることになった経験がある。それで議員たちが始めたのが「政治資金パーティー」という方法である。パーティー券は一人一枚1万円か2万円と高く、豪華な食事かと思うとそうではなく、食事に充てるのは券面額の1割か2割程度で差額は議員や派閥の政治資金になるという構図である。

 入ったお金と支出も政治活動に使われたことが明確できちんと政治資金報告書に記載されれば問題ない。今回問題となっているのは、派閥が行う「政治資金パーティー」には所属議員にパーティー券販売のノルマがあり、ノルマを超えた金額を集めた議員には超えた額を現金で還付しそれを政治資金報告書に記載せず議員の裏金になったということだ。あわてて政治資金報告書を訂正して提出した議員も居たようだ。図書代支出が何千万円と記載した議員も居たが真実か疑問である。

 しかし、長々と国会の貴重な時間を使って当該議員を攻め立ててもそれほど良い結果は出そうにもない。そもそも政治資金規正法自体がゆるゆるの法律だから、議員の倫理観の欠如として次の選挙で選挙民の診断を待つしかないのだろう。国税が調査すべきとの意見もあると聞く。確かに政治団体は非課税団体なので団体自体の税は生じない。しかし同じ非課税団体の宗教法人、社会福祉法人、学校法人などにも税務調査は入る。結論だけ言うとそれらの法人に使途不明金があると大抵はそこの代表者の所得と認定されて個人に所得税が課される。

 同じように政治資金報告書の内容に証拠が明確でない支出があれば政治団体の代表者である議員の所得として課税すれば良い。我が国の国税の調査能力は世界一流であるが、政治と暴力にだけは弱いと言われている。断固として行えば国民の喝さいを浴びるだろうし、政治家も政治資金について今後はかなり襟を正すことになるだろう。

 「政治資金パーティー」を廃止すべきという論もあるが、それまでしなくても、パーティー券は、全て個人購入にすべきだ。今まで企業がお付き合いで大量に購入していたが、それは全てその企業の役員や社員に割り当て、彼らの給与として課税すれば良い。そうなれば大量購入などなくなるだろう。今、日本経済は黒田前日銀総裁の金融失政により円が棄損して大変なことになっている。大事な国会で不正議員を追求している暇はない。日本経済は世界の中でドンドン地位が低下しているので待ったなしだ。与野党結束してこの難局を打開していかないと日本経済は益々とんでもないことになるのではと懸念している。


最近の投稿

もっと見る