会長 深田一弥の異見!

2012年10月22日

復興予算流用

 「3.11」から既に1年半を経過した。沿岸部の復興は遅々として進んでいない。先ず、インフラ整備が整わない。これは総延長500Kmにも及ぶ沿岸部復興のグランドデザインが出来ていないことと、福島第一の原発事故が未だ収束していないこともある。国、県そして各市町村等行政は、現在必死になって対応中とは言うものの、沿岸部住民を初めとして近隣の人々から見れば亀の歩み寄りも遅いとの焦燥感が実状だ。

 そんなところに復興予算19兆円の流用がニュースとなった。本来被災地域の復興に使うべき予算が、被災地域以外で例えば将来の被害に備えた設備投資とか、被災地と無理矢理関係づけての費用支出がなされた。現在、国民からの信頼をかなり失っている民主党政権ではあるが、復興予算19兆円を早々に決めたことは評価できる。

 しかし、何せ現地が上記の有様なので折角の予算が有効には活かされない。とは言え、役人は常に決められた予算を粛々と消化していくことが求められ、何とか理由をつけ消化努力をしたことは必ずしも非難されるべきではない。このような大被害の復興には、各市市町村や県の行政レベルでは無理で、例え国レベルでもお役人だけではなく、政治主導が必要なのだ。

 本来は東北の被災地岩手、宮城、福島から多くの与党国会議員が出ているのだから、そういう人達でプロジェクトチームを作り、地方議員も含めた小委員会も併設し、大きな視点によるグランドデザインと現地状況に立脚したきめ細かな対策を拙速と言われてもスピーディーに事を進めて行くべきだったと思う。今回の問題は震災復興にこのような政治主導がなされていなかったことに尽きると思う。

 ところで私は、3.11後早い時期から10兆円から20兆円の国家ファンド創設を各方面特に国会議員に訴えてきた。つまり、先ずはインフラ整備が必要だが、沿岸部の経済復興、そのための産業復興が最重要課題だ。前者は公的資金で行うことだが、後者についてはどうしても農業者、水産業者そして企業に負うことになる。

 しかし、それを復活させる手立てがない。先ず、生産設備が津波流失などで欠損しているし、企業は資本が大きく毀損して、つまり自己資金が足りない。そういうところに金融機関は融資ができないし、補助金等も限度がある。

 そこで私が考えた国家ファンド構想は個人や法人に農機具、漁具そして車両、機械等の生産設備を低廉な料金でレンタルかリースをする。それで収益を挙げてもらい、それら生産設備はいずれの時期に使用者に払い下げる。また資本が毀損している法人企業にはファンドが出資をして債務超過状態を脱却させ、金融機関からの融資を受け安くし、事業活動を活発化させ、オーナー経営者は収益から給与等で自己資金を蓄積して、いずれファンドからその出資分を買い取るとのスキームである。

 これならば行きっぱなしの補助金ではないし、確かに踏み倒すヤツもいるかも知れないが、それほど元の資金が毀損しないで戻ってくる。もし国・地方自治体に財源がないなら、3年間国・地方の公務員給与を3割カットすれば10兆円出るしいずれ返すのだ。

 私は、微力ながら若干震災復興支援に係わってきた経験では、私企業への支援には及び腰であることを痛切に感じた。一部の者の利益になり公平でないからと言うのだろうが、経済復興そして産業復興は私企業を応援しないと出来ないことも一般の人達には理解して欲しい。


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