国防とダメージコントロール
4月6日、沖縄の宮古島周辺を飛行中の陸上自衛隊のヘリコプターが突然レーダーから消えた。このヘリには陸上自衛隊第8師団の師団長はじめ幹部含めて10人が搭乗していた。
しばらくの間、機体と乗員が不明であったが、漸くレーダー消滅場所からかなり離れたところで発見され、何人かの遺体が引き揚げられた。今日時点では未だ不明の乗員もいる。国防の先端を担っていて命を落とされた方々のご冥福と未だ不明の乗員の早い発見を祈りたい。また遺族及び不明乗員の家族の心中を思うといたたまれない気持ちだ。
墜落したヘリUH60は米軍の通称ブラックホークと同型でエンジンが二つ搭載の安全性の高い機体であるはずだが、早い機体の引き揚げと徹底した原因究明をすべきだ。
最近、日本周辺は特に中国軍によりきな臭い雰囲気になってきており、国防が重要になってきている。それだけに自衛隊に掛ける期待は大なるものがある。但し、予算が少ないことが理由かも知れないが、何故1機だけで飛んだのか?師団長とは別に幹部はもう1機で飛ぶべきだった。
例えば当事務所ですら飛行機利用の場合、私と後継者の愚息とは別便にしている。これはダメージコントロールと言って、何か事が起きてもいくらかでもリスクを回避する事なのだ。今回の視察には絶対に必要なことだった。しかし旧軍もこのような考えは無かったようだ。
例えば攻撃重視で作られたゼロ戦は相手からの攻撃には極めて弱かった。また、旧海軍の巡洋艦は2、3発魚雷を食うと瞬く間に沈没したのは何故と思っていたが、それは強度を高めるため縦隔壁を入れていたので片側に魚雷を食うと浸水してバランスが崩れて横倒しになるということが最近知った。
米海軍の巡洋艦は横隔壁で片側に魚雷攻撃を受けても浸水が両側かつ隔壁間のみで、直ちには沈没しないようにしてあるそうだ。彼らは常にダメージを最小限にするべきとの理念を持っている。日本人は、ミスやエラーはあるべきでないとの考えが根底にあるようだ。
それと機体沈没場所に来た潜水艦救難艇が直ちに飽和潜水を始めたものの、機材の不具合で1日遅れてしまった。もしこれが沈没後間もなくで船内に生存者がいるような場合、一刻も無駄にできず機材不具合などはあってはならない。日頃の訓練が不十分と思われ、危機意識の欠如だ。
先頃のロシアからの情報ではプーチンは未だに北海道占領を狙っているようだ。彼は、旧ソ連への思いが強くウクライナ侵攻をしたが、大戦終了間際北海道侵攻を米国に止められた怨念を引きずっているのだろう。かつて故安倍晋三元首相が「ウラジミール」と彼の名を呼んで媚びを売っていたのを苦い思いで見ていたが北方領土を返す気なんかハナから持っていないのだ。
中国は台湾ばかりか、沖縄をも自らの領土しようと思っている。暴走しかねない北朝鮮は韓半島占拠を狙っている。我が国の周辺はこのような覇権主義国に囲まれている実状を知るべきだ。
もし、彼らが呼応して、ロシア軍が北海道、中国軍が台湾と沖縄、そして北朝鮮が韓国への侵攻を同時に開始した場合、果たして米軍だけで守り切れるかは疑問であり、自衛隊の役割は確実に重要になってくる。こういうことを空想とは考えず、現実感を持つ必要がある。
レーダーから機影が消えた1時間後周辺で突然水柱とその後煙が上がりヘリと巡視船がその方向へ急行した映像が流れたがその後の情報が全くなく、どうしたのか気懸かりである。