会長 深田一弥の異見!

2018年2月19日

国税庁長官罷免要求に疑問

 今、佐川宣寿国税庁長官を罷免すべしと野党が国会で要求している。また、国税庁の近辺でも市民による罷免要求のデモが行われていると言う。今、正に個人の平成29年分所得税確定申告の時期で、彼が国税長官では国民の納税意欲が削がれるとも言われている。佐川氏は近畿財務局在勤時にあの森友学園に学校用地を破格の価格で譲渡した際の責任者であり、その時の資料について国会で追及されると、その資料は既に破棄していてありませんと証言した。しかし、実はその資料は実在していたことが後ほど発覚して、彼は国会で偽証したのではないかとも言われている。彼は、その証言で安倍首相を擁護したと言われ、その恩賞で、国税庁長官に栄転したと言う。そんなウソをつく人が税と言う正確性を求められる役所のトップでいることはとても許すことではないと言うのが、罷免要求の理由のようだ。

 不動産鑑定価格が9億円近い土地を、地下に埋設してあるゴミ等の処分代分を差し引いて1億円程度で売却したのが不当なのかそうでないのかはここでは問わない。一般常識で考えるとあまりに低い価格なのではないかと言われ、それには安倍首相夫人と親しい森友学園の籠池夫妻からの要請で安倍首相が職権で財務省にかなりの値引きを指示したのではないかと言われている。その間の財務局と森友学園間の交渉記録があるかないかが争点となり、佐川氏は一貫してその記録は破棄してありませんと言ってのけた事が野党やマスコミも含めて国民の怒りと聞いている。

 私は、個人的に佐川氏を応援するものではないし、また私の職業柄、監督官庁でもある国税庁長官だからと言って遠慮している訳ではないことを先に申し上げておきたい。私は課税当局が理不尽な判断や処分をした際は徹底的に正すことを自らの職業上の信条として長年行動してきたつもりである。その上で言いたいことは、個人的な心情は計り知れないものの、佐川氏は官僚としては当然のことをしたのではないだろうか。

 本人が認識していたか否かは知るところではないが、官僚は、時の権力者の命に服するのがその役目だと思う。権力者が窮地に立った場合、その部下としての官僚は、さらにそれを引きずり下ろすようなことをするのが的確なあり方ではないだろう。そうすると、彼の罷免要求をする人達は必ず加計学園問題の際の前川喜平文科省前次官を例に出すであろう。彼は官僚であるにも関わらず、敢然と首相に抗する証言をしたではないか?しかし、前川氏の言動は自らの職業を掛けての証言で有り、確かに個人としては立派の一言に尽きる。彼は覚悟の上で証言したのであり、官僚としては上司に抗した訳であるから罷免されたのは当然なのだろう。

 佐川氏罷免要求する人達は佐川氏にもそれを要求しているのだろうか。それはあまりにもひどいことではないのか?そういう人達はもし佐川氏が罷免されたからと言ってその後の彼の生活を見てくれる訳ではないだろう。もし、森友問題がやはり安倍首相のスキャンダルだと言うのであれば、徹底的に安倍首相を質すべきであろう。それではなかなか中心にたどり着けないから、その意向を汲んだのであろう官僚を叩くと言う。強者は叩けないが、叩きやすいところを叩いて鬱憤を晴らそうとしているようにしか見えないのは間違いだろうか?佐川氏の罷免を要求するのではなく本丸の、疑惑の人々を追求すべきと思うが。


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