会長 深田一弥の異見!

2014年5月2日

国民の祝日を増やすのは止めるべき

 8月11日を「山の日」として、国民の祝日にする法案がほぼ成立することが確実らしい。現状でも我が国の「国民の祝日」は年間15日もあり、先進国の中でもダントツに多い、他の国ではせいぜい10日未満である。それなのにまた1日増やそうとしている。理由の一つに8月に祝日がないことが挙げられている。そうなると今でも祝日のない6月にも将来何らかの理由をつけて祝日を増やすのだろう。何でこんなに我が国は多いのか?他の先進国では有給休暇が年間30日程度あり、しかもその消化がほぼ100%であるの対し、我が国は年間20日未満でしかも実際に消化しているのはその内せいぜい数日であることから祝日であればやむなく休むであろうという思惑らしい。私はそれについては、次に掲げるように大いに疑問と思うし反対だ。

 第一に、世界の多くの国々をみれば、病気やけが等あるいは家庭の行事等で休む以外は年中休みなしで働いている人達もかなり居るだろう。大抵の場合は、生活のためやむなく働いていると思うが。恐らくほんの少し前までの日本民族も同様だったのではないか。定期的に休みを取ると言うのは、「労働とは人間に与えられた罰」と考えるアダムとイヴから始まる主にヨーロッパの文明である。明治時代になって「脱亜入欧」の考え方から始まったものと聞いている。我が国では古来神様も労働をするし、当然かつて現人神(あらひとがみ)と言われた天皇も田植えや稲刈りを神事として行っていた。つまり文化の違いである。何もヨーロッパに合わせなくても良いだろう。

 第二に、休みが多いと困る人達が居る。休まず働く人や休みたくても働かなければならない人達で大抵の場合、いわゆる弱者と言われる人達だが、そう言う人の事を考えていない。勤務した日数でしか賃金をもらえない人達は働く日数が減るのは死活問題なのだ。また中小零細企業の経営者も困る。有給の祝日が増えると収入はなくても従業員給与の支払いはあるので経営上辛い。会社事務所が多い場所の食堂なども大変だろう。収入のある日が確実に減少するのだから。

 第三に皆一斉に休みを取ることで、レジャー施設などは休みのみ混雑となるが平日は閑散なので、結局コストのしわ寄せが休日利用者にのみ負わせられてしまう。

 第四に、これで確実に得をするのは、休日は必ず休めて、有給休暇も限度一杯に取れる公務員達だ。何せ財政がどんなに窮迫しても自らの身を切ろうとしないで消費税率アップに伴い平均給与を年間80万円も増加させて平気な連中なのだから。

 ここで一旦、国民の祝日は全て見直しをすることだ。昭和の日(昭和天皇誕生日)や文化の日(旧天長節で明治天皇の誕生日)は今後天皇が代わる度増えて行くことになってしまうので今上天皇の誕生日(現在は12月23日)だけで良い。山の日や海の日、体育の日は関係ない人も多い。5月4日のみどりの日は連休にするための祝日でこれも不要。祝日が日曜と重なると月曜が休みとなる振替休日も廃止。祝日はせいぜい他の先進国並みに年間一桁で良い。それよりも20日程度の有給休暇を消化させれば良い。それも休暇取得を強制すべきでない。とにかく労働を「悪」とする考え方をそろそろ改めるべきだろう。


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