会長 深田一弥の異見!

2013年4月18日

体罰問題

 昨年末、大阪市立桜宮高校バスケット部キャプテンの男子高校2年生が自殺した。前日バスケ部顧問の教師から殴られたらしい。殴られた理由は本人の無気力プレイのようだし、部員が試合でミスしてもキャプテンの責任として常に殴られていたらしい。この顧問は地元バスケ界では有名人で彼が顧問をした部は必ず強くなると言う神話があったらしい。

 しかし、殴られた本人にしてみれば自分が法や規則あるいは礼儀作法に違背して殴られるのであればある意味納得せざるを得ないが、ミスして殴られるのは何とも納得できなかったであろう。しかし、この顧問が公立なのに十数年間も同じ高校に在職しているのも変だし、体罰をその高校の他の教職員が見て見ぬふりをしていたとは何とも情けない。力を持った者には何も言えないという役人的事なかれ主義がこういう犠牲者を生んだとも言える。

 生徒への体罰については色々議論があるが、本人が確実に悪いことをし、言っても直さない場合は身体で分からせるというのなら許せるものの、それ以外は絶対にやっていけないことと思う。生まれたばかりの子供は野生の動物と同じなので「しつけ」をしないといけないが、聞き分けのできる年齢になっても言うことを聞かない場合は体罰もやむを得ない。しかし、それも親だからこそ許されるのであり他人がやってはいけない。体罰をしないと強くならない指導しかできないのは指導者失格であると私は断言したい。

 地元に常磐木学園と言う元々女子高校があり、そこの女子サッカー部は全国制覇の常連校である。ここの阿部監督は体罰をしないし怒鳴りつけない。しかし、礼儀作法はしっかりと指導するし、朝は部員に校庭や学校の近隣を掃除させると言う。スポーツは強いだけでは駄目で、こういう人間として基本的なことをしっかりと身につければ黙っていても自ら練習し、自ら考えてやるようになると言う。こういう指導方針を慕って全国の有力な選手か集まってくるから益々強くなるようだ。阿部監督はなでしこジャパンの佐々木監督とも親交がある。佐々木監督も同様な指導法でなでしこは強くなったのだろう。

 中・高校生の部活だけでなく最近、女子柔道界でも監督やコーチの暴力が問題となったが、日本のスポーツ界で体罰が横行するようになったのはいつからなのであろう。恐らく戦前の軍隊での体罰が軍隊式として戦後も残ってしまったのではないか。

 先日、空手の師範で、ある流派の日本チャンピオンになった人と話をする機会があった。日本チャンピオンなので身体はごついが極めて穏やかに話をする人で驚いた。幼児や児童教育にも熱心でスポーツは勝つことよりも先ずは礼儀作法や精神修養が大事だと言う。勝つことばかりに執心すると人間が駄目になるということか。彼が言うには、江戸時代まで体罰と言うのはなかったのではないかと言う。明治になって何でも近代化を急ぐにつれて、兵は強くなければならないと焦るあまり特に軍隊で体罰が発生してきたのではないかと大変興味ある事を言われた。

 私は、何でも戦後が悪いと言う前に、日本の諸悪の根源のいくつかは意外に明治維新にあるのではと常日頃考えていたことでもあり、意を強くした。今、問題の中央集権官僚制度も明治から始まったのであり、この軍人官僚のなれの果てが国を滅ぼした。しかし軍人以外の官僚は生き残って未だに国を牛耳っている。

 体罰問題と官僚制度は繋がっているのかも知れない。


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