会長 深田一弥の異見!

2014年10月15日

今年のノーベル賞(青色LED)

 2014年のノーベル物理学賞に赤崎勇、天野浩そして中村修二の3氏が決まり、我が国の科学技術レベルの高さを世界に再認識させることとなった。残念ながらいつも下馬評に挙がる村上春樹氏のノーベル文学賞そして今般話題となった日本国憲法第9条のノーベル平和賞の受賞は実現しなかったが。改めて受賞の3氏に敬意を表したい。

 今般の3氏の受賞はもう既にメディアで紹介されているように青色LEDの実用化の貢献によるもので、これにより、地球上の照明がLEDに置き換わることで天文学的数値の省エネルギーとなる。新たな原発設置が不要となったり、また二酸化炭素発生も大きく減少することとなる。この全人類が恩恵を受けることになるための貢献に対して賞が贈られたものと見る。赤崎氏が原理に執着し、その実現に天野氏が粘り強い実験を繰り返して達成し、中村氏は製品化を成し遂げた。ここで言うまでもなく、色の三原色は赤・青・黄だが、光の三原色は赤・緑・青である。赤と緑は既に実用化されていたが青がなかなか出来なかったため白色光とならず通常の照明は難しかった。それが3氏の尽力で可能となった成果は確かに大きい。

 ところが先ず私が言いたいのは、赤と緑のLEDの実用化は簡単だったのかと言うことだ。今般の3氏の受賞についてメデイアは「赤と緑のLEDは既にあり」の一語で大抵片付けられている。ところが赤と緑のLEDは東北大半導体研究所で西澤潤一氏がトップとなって開発し実用化したものなのだ。この功績があって初めて青色LEDの必要性が高まったのを知って欲しい。メデイアは3氏の功績を言う場合には西澤潤一氏の功績を一言述べるのが公平なあり方と思うがどうか?これもいつものごとくメディアの不勉強なのか片手落ちで国民に正しい情報が伝わらない。今からでも遅くないのでメディアは発光ダイオード(LED)特集でも組んで、我が国でLED開発に携わり、今回の成果までに貢献した方々の紹介とその功績を詳細に伝えることがその責任だと思うがどうか?

 またノーベル賞もそうだが賞とは大抵の場合個人に与えられるが、その殆どは受賞者が成果を出すまでに色々な人々や組織も協力してのことだと思う。受賞者の方々のインタビューの中で一言それに触れてくれれば、心が温まる当事者は多いのではないだろうか?またそれを聞いて一般の人達も受賞者の心配りとその人間性に同感してさらに好感度が増すのでは?そしてそれが多くの日本人の心情だと思う。受賞者の一人が「怒り」がこれまでの成果を出したとか、自分が居た企業を貶めるような発言をするのを聞くと、その成果には敬意を表するものの、その人間性に疑問を持ったのは私だけであろうか?

 その彼が居た企業は確かにその功績で今かなりの利益を上げているのであろうが、そこに至るまでには、彼を米国に留学させたり、高価な実験装置を買い与えたりしてくれたと聞いている。自分の特許の価値を低くみられた事を言っていたが、その企業にしてみれば企業規模から見て、海とも山とも付かない開発に大金を投入してやっと成功し、これからそれを回収しようとしていた段階で彼から訴訟を受ければその企業経営者にしてみれば「何と恩知らずの奴だ」となるのは当然だと思う。

 折角の「おめでた」だったのに彼の発言で水を差されたと感じたのは私だけであろうか?私が聞いた同年代の経営者は皆私と同意見であったことをここに記しておく。


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