会長 深田一弥の異見!

2016年5月6日

オバマ大統領の広島訪問予定

 今月下旬、伊勢志摩においてG7サミットが開催され、その後、アメリカのオバマ大統領は広島を訪れる予定と言う。恐らく原爆犠牲者の碑に献花をすることになるであろう。そこで大統領はどのようなコメントを出すのか大いに興味がある。

 いままで、広島と長崎に対しての原子爆弾の投下についてアメリカは、『大戦末期の日本政府が、「本土決戦」を叫び、「一億玉砕」を掲げていた中で、「原爆が戦争を終わらせて、何万という米軍将兵の生命を救った」』という「伝説」は、アメリカの歴史観の「公式見解」になってしまっている。それでも14万という非戦闘員の殺戮を正当化するのか、ということについては、現在のアメリカ世論は40%対60%くらいで「正当化しない」方に傾きつつある。それでも40%くらいは「公式見解として正当化できる」と思っているようだ。

 しかし、その言い訳に正当性はないと私は断言する。広島に原爆を投下した昭和20年8月6日段階で、日本軍は、沖縄戦でも敗北し、既にアメリカ軍への反攻能力は失われていた。後は、ポツダム宣言を受け入れるか否かの決断をする時期であった。間違いの無いように言うが、日本は戦争当初からアメリカ本土を侵攻し占領するような意図は全く持っていなかった。資源小国の我が国が資源を求めて豊富な東南アジアを勢力範囲にするにはアメリカの海軍力と主にフィリピンに基地を置く陸軍・空軍が障害なのでそれを排除しようとしてアメリカに宣戦布告したに過ぎない。そのための海軍力である世界最強と言われた帝国連合艦隊は8月時点では既に壊滅していた。

 また、島国の我が国が海外侵攻するには陸軍将兵と武器弾薬を船で輸送するが、日本の近海はアメリカ軍の艦船と航空機で取り囲まれていたし、日本の船舶の多くは破壊されたり撃沈されていて輸送不可能となっていた。またそのための武器弾薬や食料も乏しくとても反攻のために出撃していける状態ではなくなっていた。陸軍は勇ましく本土決戦を叫んでいたとは言え、それはあくまでもアメリカ軍が日本を占領せんとしようとすることに対しての抵抗に過ぎない。

 では、アメリカでは日米の戦いをどのような捉え方をしていたのであろうか。原爆投下の正当性をアメリカが述べる度に私が思うのは、元々アメリカは日本の領土を占領する目的を持っていて、自らは先に手を出さず、日本のプライドを散々傷つける対応をし続け、腹に据えかねた日本が先に手を出すのを待って、たたきのめして日本国を我がものにしようと企んだのではないか。もし日本との戦いがアメリカ防衛のための戦争なら、日本軍を島国に閉じ込めたところでつまり沖縄戦終了段階の6月でアメリカ軍の勝利であり、それ以上の攻撃は全く無意味で、それ以上の米軍将兵の犠牲は発生しようがない。従って、原爆投下を米軍将兵の生命を救ったと言うことは、領土占領と日本国民殲滅との明白な意志から行った証左である。

 戦いであるから例え原爆であっても将兵の戦死はやむを得ない。しかし、非武装の住民を何十万と殺すのは全く虐殺であり、明白な戦争犯罪だ。もし、アメリカに当初から日本占領の意志がなかったとすれば原爆投下は日本が仕掛けた戦争に対する意趣返しの住民虐殺だ。

 さて、オバマ大統領はどのようなコメントを出すのだろうか、既に戦後70年を経過したのだから、我が国は原爆投下の不当性をもっと声高にアメリカだけでなく世界に叫ぶべきではないか。


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