会長 深田一弥の異見!

2012年8月13日

オスプレイ

 オスプレイとは米軍の垂直離着陸輸送機MV22のことで愛称のオスプレイは英語で鷹の一種「みさご」のことだ。空中から餌である水中の魚めがけて急降下するところが似ているらしい。機体は飛行機とヘリコプターのミックスで、1980年代の開発とのことだが私の記憶では確か中学生頃の雑誌で見たので、開発構想は数十年前からと思う。

 垂直離着陸は軍用ではかなり重要であり、軍事作戦で現在のヘリコプターの活躍はいうまでもない。また英国にはハリヤーと言う垂直離着陸戦闘機がある。オスプレイは、現在米軍で主に運用しているタンデム型2ローターのCH46型中型ヘリの2倍の速度、3倍の積載量、5倍の航続距離と言う。これを本土及び沖縄の米軍基地に配備されるとその軍事抑止力はかなりのものだ。

 しかし、この機体は、開発当初から事故続きで米軍内では「未亡人製造機(ウイドウメイカー)」とも言われている。我国の米軍基地は住宅地に近接しているところが多く、このような危険な航空機が常時離着陸することに住民からの反発が強い。しかし、他にこれだけの性能を持った機体がないことから在日米軍は配備に強硬だ。とは言え、現在の主力ヘリであるCH46型も配備当初はかなりの事故率であったらしい。

 オスプレイの飛行映像を見ていると上方に垂直に向けた両側の主翼に付いたプロペラで上昇し、一定の高度に達するとそれらを水平に(ティルト)して、プロペラは前方に向き飛行する。この一連の動作時に機体が不安定になりやすく、改良すべき余地があるのだろう。テレビで見ていても危なっかしい飛行映像だ。これを単に反対するのではなくここに日本の類い希なコンピュータ制御技術を取入れて改良提案をしてはどうか。

 かつて騒がれた純国産戦闘機構想も米国側の強硬な反対で頓挫したことは未だ記憶に新しい。その技術はコンピュータ制御で飛んできたミサイルをヒラリとよけることができるそうだ。米側では「日本がまたゼロ戦を作りアメリカに対抗する気か!」と言わしめた技術で、それと交換に米軍のF16を改造し日本のF2としたという。だから我国のコンピュータ技術をオスプレイに導入して飛行安定性を高めることは可能と思われる。

 但し米側がオスプレイの技術内容を公開するか否かに掛かっているが。それが無理なら日本の技術で安定した垂直離着陸機を作ることは可能ではないか。飛行機の上部か脇に1基か2基のジェットエンジンを置き、上昇する際はその回転力でエンジン上部の大型ローター(回転翼)1基を回し、一定の高度に達したらローターを止めエンジンのみの推進力で前進する。その際、ローターは抵抗を低くするため畳むことができればなお良い。オスプレイはサイドバイサイド型2ローターでそのバランスが難しそうだ。通常のヘリコプターのように1ローターであればバランスは関係ない(テイルローターが必要だが)。

 実は我国で1960年代から垂直離着陸機の研究がなされ1970年には国の航空技研により宮城県角田市で国産ジェットエンジンによる垂直離陸と水平飛行の試験に成功した。後にその研究は諸事情で中止したが勿体ない話だ。南西海上で防衛上の危惧が大きい現状から有事に直ちにできるだけ多くの兵員や武器を輸送できることが望ましいし、その際は滑走路の確保が難しい場合があろう。

 我国有事のためには、単にオスプレイに反対するだけでなく、このような代替案も考えることを勧めたい。


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