会長 深田一弥の異見!

2015年11月24日

イスラム教指導者は何故黙っているのか?

 ISISと言ったり、イスラム国と言ったりしているが、イラクやシリアで急速に力をつけてかつ暴虐な活動をしているイスラム教原理主義と言われる集団が世界を恐怖に陥れている。最近ではエジプトからモスクワに向けて飛び立ったロシアの旅客機が空中で爆破され、乗員百数十人が死亡したし、パリ市内では同時多発テロが発生し200人近くの人が殺傷された。日本人でもジャーナリスト2人が殺され、また最近バングラデシュで、地元で慕われていた日本人が殺害され、ISISが犯行声明を出した。

 かつてはアルカイーダと言われる組織が世界の各地でテロを行っていて恐怖をあおっていたが、ISISは元々アルカイーダの傘下であったのがそれに飽き足らずに離反してさらに残虐性を増した。最近は、アサド政権と反体制派の覇権争いに乗じてシリア国内で勢力を拡大している。その騒乱から逃れようと数百万人に及ぶ避難民が主にヨーロッパ諸国に乱入しているのが大きな問題となっている。ISISに対して今まではアメリカのみが散発的に空爆をしていたが、最近はロシアとフランスも空爆に参加した。空爆をしている国々にもそれぞれの思惑があり、どうも一致団結して事に当たるというようにはなっていない。

 ISISは、国際的には認められていないもののアラビア半島にイスラム教原理主義の国を作ろうとしている。世界に16億人居ると言われているイスラム教徒の中にはその活動に賛同する者は結構な数に昇るのであろう。しかし、例えそういう国が出来たとて原理主義と言う極めて戒律が厳しく不自由で息の詰まりそうな国に住もうと言う者がこの文明の世の中にはそれほど多いとは思われないのだが。

 但し、世界各国からISISに参加する若者の殆どが純粋な宗教上の目的より地元で主に経済上の理由で自己の存在が報われていないことの不満から一か八かの世界で鬱憤を晴らそうとしているのではないか。特にヨーロッパ諸国ではかつての植民地のアフリカや支配地区だったアラビア半島から来た者達が宗教上と言うよりはむしろ人種的な違いで社会の底辺層で我慢せざるを得ない状況が大きい。そう言う層が大抵の場合がイスラム教徒であるためではないか。

 ところでイスラム教は世界三大宗教と言われるからには、かなりの数の宗教指導者が居ると思うが、そのトップに居る人達はかのISISの行動をどのように感じどのような意見を持っているのか見えてこない。彼らが黙っていると言うのは残虐なISISの行動を容認していることにならないか。とは言え、数は少ないが私の知るイスラム教徒達はISISの行動を明確に批判している。是非、イスラム教指導者の誰か1人でも命の危険はあるかも知れないがISISを公式に批判すべきであろう。

 それとこれは欧米の主にキリスト教徒が支配的な国々では人種や宗教の違いで彼らを差別せずに、優秀な者はドンドン引き上げるべきである。それはかつての宗主国や支配国としての責任でもある。経済的な余裕を持てばISISに身を投じる者は確実に少なくなる。その上でISISの行動は必ずしもイスラム教の教えに沿っているのではないことを宗教指導者が声を大にして訴えるべきだ。

 身内が殺されて冷静にと言うのは無理かも知れないが、憎しみの報復合戦だけではいつまでも終わりなき戦いになってしまう。


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