会長 深田一弥の異見!

2023年11月1日

また戦争が!

 パレスチナのガザ地区を実効支配しているハマスの軍隊が壁を越えてイスラエル領に武力侵入し民間人を200人以上人質にした。イスラエルはハマス殲滅を標榜しガザに反攻を始めている。ハマスはガザからイスラエルに向けてロケット弾を発射し、イスラエルはガザ地区へ空爆で反撃している。どちらも民間人に死者が出ているがガザの住民の被害の方が圧倒的に多い。

 イスラエルは全面地上侵攻前にガザ住民に南部へ避難するよう呼び掛けたが、ガザ地区とは日本の種子島程度の面積に200万人以上の住民が押し込められていて全てが南部に行くのは無理である。また電気水道などインフラを止めているのでガザ住民の生活環境は最悪になっている。人道上の危機であり、国連では連日の会議でイスラエルに自制を求めているが、イスラエルは強硬である。

 国連でもイスラエル側に立つアメリカはじめ西側諸国とパレスチナ側に立つアラブ諸国とでの対立が激しい。ハマスの行為はテロだと西側諸国は叫ぶが、アラブ諸国はもともとアラブ人を追いやったイスラエルが悪いと反論している。ハマスの暴力にも関わらずイスラエルに対して国際世論は必ずしも支持していない。

 長らくパレスチナの地にはアラブ人もユダヤ人も住んでいたが第二次大戦後ナチスによって迫害されたユダヤ人達の国を作ろうとの運動によりイスラエルが建国された。それで今まで住んでいたアラブ人には住居を追われてしまった者も多い。イスラエルは世界各地から同胞を呼び込み武力で領域をドンドン広げていき、アラブ人は狭い地域に追いやられてしまった。彼らは自分たちの権利を守ろうとしても武力に勝るイスラエルに対してはテロなどで対抗するしかなかった。

 アラブ諸国とイスラエルとの対立は中東戦争と言われる4度にわたる戦争があったが何れもアメリカはじめとする西側諸国の援助を受けたイスラエル側の勝利に終わった。その後もイスラエルの領地拡大とそれに抵抗するアラブ側の反撃が続いていたが1993年にノルウェーのオスロにおいてアメリカ等の仲介でイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)の間で、アラブ人には自治政府を認め、イスラエル側には不当に占拠した地から撤退するという合意がなされた。

 合意当時の首相だったラビンが暗殺され、その後右翼政権となったイスラエルはその合意に反し入植と称して領域を広げていった。さらにアラブ人をヨルダン川西岸地区と地中海側のガザの狭い地域に閉じ込めそれらを高い塀で囲ってしまった。明らかに合意違反なので国連ではイスラエルへの非難決議をしようとするが、アメリカが同意しないようだ。今回はアラブ人の不満が高じて、ハマスが爆発したと言える。

 ユダヤ人とアラブ人が仲良く住めば良いのだろうが歴史を遡るとそうは簡単にいかないのだろう。虐げられていたエジプトからモーゼに率いられてパレスチナに国を作ったがローマに滅ぼされて世界各地に散ったユダヤ人は迫害され漸く20世紀半ばに建国したとの思いは強い。しかし何千年と住んでいたアラブ人にしてみればイスラエルは侵入者としか思えない。それを主導した西側諸国特に三枚舌外交をしたイギリスの責任は大きい。今素知らぬ顔をしているが内紛のアジアやアフリカの国々にはイギリスの旧植民地が多いのではないか。

 ハマスはイランがバックだろうがイスラエルへアメリカが積極支援をすれば結果、ウクライナで苦戦のロシアが助かることにもなる。


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