会長 深田一弥の異見!

2017年5月11日

ふるさと納税に制限を設けるな

総務省はふるさと納税の返礼品の価格について、寄付額の3割までに抑えるよう全国の地方自治体に要請した。自治体が寄付金を集めるために高額すぎる返礼品を競って導入しているため、返礼品の金額の目安を設け、寄付の多くを自治体の手元に残して地域活性化の原資に充ててもらうとしている。

ふるさと納税とは、日本の個人住民税の制度の一つで、日本国内の都道府県や市町村等任意の地方自治体に寄付することにより、一定の制限や限度があるが、寄付した額のほぼ全額が税額で控除される。地方間格差や過疎などにより、税収の減少に悩む自治体に対しての格差是正を推進するための新構想として、西川一誠福井県知事が2006年に「故郷寄付金控除」の導入を提言した。

以前から、実際の住所以外の場所に何らかの貢献をしたいという人は存在し、スポーツ選手や芸能人などには都市部での活動機会が多いにも関わらず、故郷への思いから住民票を移さずに故郷に住民税を納め続ける場合や「好きな町に税を納めたい」として生活拠点ではないとされる地域に住民票を移そうとした事例があった。

ふるさと納税は2008年4月30日に公布された「地方税法等の一部を改正する法律」で成立した。その後、総務省がポータルサイトを立ち上げたり、テレビを含む多数のメディアで紹介されたりと注目を集めた。寄付をすることで税控除が受けられるほか、豪華な返礼品をもらえるなど、ふるさと納税による経済的メリットがわかりやすいため制度創設以来、この制度を利用する人が年々増加し、制度創設した2008年度と比較して7年後の2015年度では利用者約40倍、金額にして約20倍となった。

ところがブランド牛やカニ、宝飾品、など豪華な「返礼競争」は次第に過熱してきていた。また、ふるさと納税を受けるのは多くの場合、正に地方の自治体であるが、一方、大阪、名古屋、横浜の大都市及び東京23区はこの制度によって税収が流出して税の減収に危機感を持つようになった。

世田谷区によると、ふるさと納税で寄付をするのは40〜50代が多く、年収が1000万円の大台に乗る寄付者もいる。比較的裕福な年配層が節税をすることによって、子育て世代や世帯収入の低い家庭が影響を受け、格差が拡大していることや、公共施設の改築・改修の先延ばし、事業計画の見直しをせざるを得ないという。

そこで総務省は返礼合戦になると、返礼品調達にお金がかかり、自治体が使える財源は少なくなる。これでは、都市に比べて税収が少ない地方を応援するという制度本来の趣旨があいまいになるということで上記のように返礼品に制限をするよう要請した。

しかし、多くの場合、返礼品は、地元の生産品であり、この制度によって地元産業活性化になっている面を無視してはならない。安倍政権は必死になって地方創生と言っているが、それは単に地方自治体の財政を豊かにすることではなく、地元産業の活性化ではないか?どうも言っていることとやっていることがちぐはぐな感を禁じ得ない。

ところで大都市では税の流出で困ると言っているが地方に比較して所得も高い住民が多いことから今まで豊かな財政で楽をしていたのではないか?恐らくそこの職員の給与水準もきっと高いのだろう。減収が怖いと言うが、そういう中でどのように住民サービスの質を落とさずに財政運用をして行くかを考えるべきだろう。地方では財政厳しい中で工夫を凝らして対応してきたのだから。


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