会長 深田一弥の異見!

2019年9月2日

さらに重ねて「軽減税率」の愚を問う

 いよいよ10月から消費税率が8%から10%にアップする。このアップについても反対の声も大きく、今般の参議院選挙の争点にもなった。しかし政権与党が勝利したので、税率アップは確実となるだろう。ところでそれとともに導入されるのが食料品等の軽減税率だ。

 ようやくマスメディアも、軽減税率の馬鹿らしさを報道するようにはなった。コンビニでは、持ち帰りか店内のイートインで食事するかで税率が異なることになり、煩雑なのでイートインコーナーを廃止するらしい。バカな税のために顧客サービスが損なわれると言うのは本末転倒だろう。軽減税率対象商品も混在して扱う零細な小売店では、レジの買い換えも面倒だし、この機会に廃業しようかという話も出ている。

 また、税務の現場も大変で、旧8%なのか軽減の8%なのかの選別も面倒だ。消費者だって軽減かそうでないのか気になる人も居るだろう。今になって軽減税率を提唱し、自民党の出した集団的自衛権に反対しない代わりに無理矢理導入させた公明党の議員諸君も心が痛んでいるのではないか?もっとも軽減税率は党独自の考えよりも、後ろに控える宗教団体からの要望なのだからと知らぬ振りするのだろう。

 しかし、メディアの中でも新聞には軽減税率の煩雑さがあまり記事にならないのは、ちゃっかりと新聞もその恩恵に預かるからなのだ。今年の初め頃、某大手新聞の有名な論説委員が仙台に来て税について講演をした際、彼は軽減税率について反対の意見を堂々と話していた。この講演会は私が所属する団体が招聘していたので休憩時間時、私は彼に言った、「貴方が軽減税率に反対は我々も同意見で賛成だが、貴方の所属する新聞では何故反対の論陣を張らないのか?」と。「いや、全く記事にしていないことはないですよ」といつも歯切れの良い彼に似合わない回答だ。

 私は「結局貴方はその新聞社の人だからしょうがないのかな」とせいぜい嫌みを言ってやった。このことを見ても大手新聞や、テレビの討論会党でいかにも物分かったような顔をして歯切れ良く書いたり話している有名解説者もこの程度なのだと言うことを一般市民の方々はとくと分かっていて欲しい。

 「悪法もまた法なり」だが、こんな馬鹿らしい軽減税率にいくら反対しても10月から始まるのだろう。ここは、事業者も消費者も頭を働かせて対処するしかない。コンビニはイートインを廃止しないで、店内にこんな掲示をしてはどうだろう。「お買い求めになった飲食品は、こちらの店内ではなく、近隣の他のコンビニ店のイートインでお召し上がり下さい」と。シェア争いで廃棄食品を大量に出す無駄ばかりしないで、こういうことで協力し合ってはどうか?縁日の屋台の縁台にも、「当店でお買い求めの品は、お隣の屋台の縁台でお召し上がり下さい」こういう庶民の知恵で乗り切って欲しい。そうすればこんなバカな軽減税率は何れ廃止になるでしょう。

 ヨーロッパの多くの国で導入されているのに何故日本で軽減税率に反対しているのかと言う論がある。しかしそういう国々で軽減税率なのかそうでないのか税務の現場では常に議論がなされているのだ。だから彼らから、何故日本で今更面倒な軽減税率を導入しようとするのかと笑われている。但し、税率アップで生活が窮乏化する層の人達には別な形で手厚い補助をしていくことを忘れてはならない。


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