会長 深田一弥の異見!

2015年6月11日

「集団的自衛権」は違憲!

 先日の国会で不思議な事が起こった。おりしも憲法審査会で集団的自衛権の審議中、参考人として出席した3人の憲法学者が意見を述べた。一人は集団的自衛権賛成の自民党側の参考人。他の二人はそれぞれ反対する民主党、維新の党からの参考人だ。ところが民主党議員からの質問に3人が3人とも「集団的自衛権」は憲法違反ですよと言ったのだ。これに慌てたのが自民党だ。今国会で「集団的自衛権」を含む法案を成立させたいともくろんでいるにもかかわらず、自分たちの味方と思っていた学者先生からNOを突きつけられたからだ。自民党首脳部はそれでも集団的自衛権は合憲だと強気を貫き通すようだ。

 ところで「集団的自衛権」については国民の反発がかなり強い、それには理論的な反対もあるが、その多くは感情論での反対だと思う。感情論での反対にも大きく分けて二つある。ひとつは主に女性に多いが自分たち子ども或いは教え子を戦争に行かせたくないというものである。もう一つは主に高齢者に多いが、悲惨な戦争体験からもう二度と戦争はご免だというものである。

 現憲法は軍事力の放棄と交戦権を禁止している。前にも述べたが、世界の全ての国々が武器を持たず戦争をしようとしないのならばこれはまさに素晴らしい事であるが、いかんせん21世紀になっても暴虐な国はあるし、そういう国がいつ暴発し他国に迷惑をかけてもおかしくない。従って現憲法の主旨は理想論と言うより空理空論であることは自明の事だ。しかし、そういう国がもしかして我が国を侵そうとした場合はいかに平和憲法であっても自衛の戦いまで禁止するものではないと言うのが「個別自衛権」であり、その解釈は裁判例でも確定している。

 しかし、「集団的自衛権」はそういう不埒な国が他国を侵した場合にも懲らしめに行けるということで、これは憲法学者ならずとも通常の頭で考えれば「憲法違反」であることは明らかなことであろう。専門の学者が違憲と言うのに政権与党が合憲だという根拠が分からない。確かに現在の日本国憲法は激変してきている世界情勢に合致しなくなっていることは事実であるし、普通の国ならば「集団的自衛権」を持つのは当然なのであろう。しかし、そうならば堂々と「改憲」を提示すべきであろう。

 思い起こせば、かつての帝国日本軍は当時の明治憲法を拡大解釈して「統帥権」を持ち出し、彼らの勝手な行動を批判すると、自分たちは天皇から統帥権を付与されているのだからその批判は「統帥権干犯」に当たり天皇の意志に反対することだとの幼稚な論理を振りかざして武力をバックに国民を戦争の道へと駆りたてていった。我々高齢者はそういう経験から、拡大解釈を一旦許すと、次々に拡大解釈をされてしまう懸念を言っているのだ。

 かつては軍であったが、現在は国民の圧倒的支持を得ている政権与党か。そういう国民の感情が現在政権を担っている政権与党の議員達には思い至らないのだろう。何故普通の国になるのに反対するのかと。ここは憲法学者が違憲と言っているのだから現政権は「集団的自衛権」は一旦取り下げて、真剣に憲法改正論議をしていくべきではないか。

 「何っ!それではアメリカが待ってくれないって!」それは終戦直後日本の牙を徹底的に抜いてやろうとアメリカは現憲法を押しつけたのだから自業自得ですよ。


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