会長 深田一弥の異見!

2013年4月26日

「外国為替市場」これでいいのか

 かつて我国の一般市民生活は外国為替市場とは殆ど無縁で暮らしていた。それが最近では、原油や小麦等の価格動向が即生活費に直結することから外国為替相場に敏感になってきている。その外為市場が民主党政権時代を通じて長らく円高基調であったのが、安倍政権になった途端今度は一気に円安基調になってきている。そのことでまた一喜一憂する人達がいることも確かである。一国の通貨の国際相場が短期間でこんなに変動して良いものであろうか?

 戦後我国は長らく1ドル360円時代が続いた。これは我国の国力が敗戦で疲弊していたこともあるが、当時のアメリカが我国から工業製品を安価で調達しようとしていた等の思惑もあった。しかし当時アメリカ占領下にあった沖縄はアメリカの都合で1ドル120円(これをB円と言うそうだ)にされた。つまり沖縄では日本国内のモノを3分の1の値段で買えたことになるが、そのため沖縄の産業は壊滅したと言われている。このように外国為替市場は強国の都合で決められてしまうことが多い。

 ところで我国の工業力は1ドル360円の為替相場も後押しして1960年代には世界に冠たる地位を占めるようになった。逆にアメリカの国内産業特に工業は安価な日本製品が怒濤の様に流入し瀕死の状態となった。1971年アメリカの呼びかけでワシントンのスミソニアン博物館において多国間通貨調整が行われ、日本に円の切り上げを要請し、1ドルは308円となった。さらに1973年、円はじめ多くの通貨が変動相場制を取るに至り、為替相場は日々変動するようになり、ついには100円を切ることとなった。

ところが大国中国は未だ基本的に固定相場制を守り、従って中国元の変動幅は僅かである。盛んに元の切り上げを国際的に要請されても頑として応じないのもある意味見上げたものだ。

 しかし、変動相場制を取ると何故こんなに相場が動くかと言うと、そこには相場変動を利用して儲けようと投機資金が流入するからである。本来、外国為替市場は貿易等取引や資本取引の決済資金程度であるのだが、その数十倍(一説には数百倍とも言われる)の投機資金が為替相場を動かすのであるから、正常とは言えない。確かに固定相場制では、その国の国力が相場になかなか反映されないので変動相場制は必ずしも悪いことではないが、投機資金の思惑で相場を荒らすことは決して健全とは言えない。

 第二次大戦中、日独の敗戦がほぼ確定的となった1944年アメリカとイギリスの間で戦後の国際決済についてアメリカのブレトンウッズで話し合われた。ここで固定相場制と円の1ドル360円が決まった。その場でイギリスからは有名な経済学者のケインズが新たな国際決済通貨を作るべきと主張したのに対し、アメリカはドル決済を強硬に主張し、イギリスもアメリカの援助で何とかドイツに勝利した弱みもあってかやむなくアメリカ案を飲んだ。

 そろそろこれも見直しをし、国内通貨と変動幅の少ない新たな国際決済通貨創設を考えていくべき時なのではないかと思う。しかし、現在、外国為替市場で荒稼ぎをしようと虎視眈々と狙っている国際金融マフィアを多く擁しているアメリカは恐らく反対することだろう。

 ところで現在の世界3大国際決済通貨とは、米ドル、欧州ユーロそして次には日本円だと言うのは皆さん知っていましたか。


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