会長 深田一弥の異見!

2021年5月1日

「えっ!中国は民主主義国家?」

 今、中国国内で、香港やウイグルに代表される人権抑圧が、世界の特に先進諸国から非難を浴びている。ところが、3月18日(現地時間)、アンカレッジで開催された米中ハイレベル戦略対話にて、米国側からそのことを批判された中国共産党で外交担当のある高官は「米国には米国式の民主主義がある。中国には中国式の民主主義がある。米国の民主主義がどのような成果を収めてきたか、どれだけ成熟しているかに関して言えば、米国人だけによってだけではなく、世界市民によって評価されなければならない」と指摘した。また「米国内における人権状況に多くの問題が存在する、世界における絶対多数の国家は米国の価値観が国際社会における価値観だと認めていない」と言及し、米国側を強くけん制、批判した。

 このことは、一高官の私見ではなく、現在の中国共産党政権の公式な見解なのだろう。中国は、米国に対して黒人やヒスパニック等への差別、かつては先住民インディアンへの虐殺も例に出しているようだ。また、米国に同調する日本に対してもかつての中国への侵略等を取り上げていると聞く。そういう人権抑圧のある歴史を持っている国々が、中国国内について余計な事を言うなと意気高だ。

 ところで中国式の民主主義とはあるのだろうか?近代民主主義は、欧州で専制主義の王権に対する民衆の人権を守ろうと言うところから発生した。それがいくつかの市民革命を起こした。現在、確かに世界各地のさまざまな民主主義制度には微妙な違いがあるが、一般に民主主義の条件とは次の通りだろう。先ず、民主主義国においては、立法者は政府ではなく、国民に主権がある。

 つまり市民が直接、もしくは自由選挙で選ばれた代表を通じて、権限を行使し、市民としての義務を遂行する統治形態である。多数決原理の原則ではあるが一方個人および少数派の権利をも擁護する。言論や信教の自由、法の下で平等な保護を受ける権利、そして政治的・経済的・文化的な生活を組織し、これらに全面的に参加する機会などの基本的人権を擁護することである。マハトマ・ガンジーは「不寛容は、それ自体が暴力の一形態であり、真の民主主義精神の成長にとって障害となる。」と述べている。

 以上をもって常識的に見れば、現在の中国共産党政府は民主主義とは言えないだろう。それを中国式民主主義と強弁するが、中国では先ず人権が極端に制限されているので、それは民主主義ではないのだ。国名は中華人民共和国と言うが、実態は中国共産党による専制主義国家なのだ。専制主義国家では人権が極めて制限され、特に政治体制にもの申すことは国家破壊思想と見られてしまうで民主運動に対するあれほどの取り締まりがなされる。宗教にもかなりの制限をしている。

 「中国式民主主義」と主張した中国の高官、またその高官の主張を中国は訂正もしないことから中国政府の関係者は「民主主義」とは何たるかを勉強して欲しい。また、彼らはかつての米国や日本の人権抑圧を引き合いに出すが、それは論理的に間違いであることも指摘したい。それは、老夫婦間で、よく妻が昔の夫の自分への仕打ちを持ち出し、自分の現在の失敗の免罪符にしようとするのに似ている。中国政府が、相手国に昔の事を引き合いに出して反論するのはどうしてもそれと同じ様に見えてしまう。また、他国の過去の人権抑圧を言い出すなら、共産中国のそのことについては他国に対して誇れるのかも問いたい。


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