所長 深田一弥の異見!

2020年3月5日

カルロス・ゴーンは何故逃亡した?

 最近のコロナウイルス騒動で影が薄くなってしまったが、昨年末、「カルロス・ゴーン海外へ逃亡」の驚くニュースが飛び込んできた。彼は、会社法や金融商品取引法等の違反の容疑で収監されていたが、色々とすったもんだの末、漸く保釈されていた。自宅で大人しくしているかと思ったが、意外と色々と出歩いていた。

 それが大阪まで新幹線、その後関西空港から、プライベートジェットの積み荷の中に隠れて不正に出国した。それには、米陸軍特殊部隊グリーンベレー出身の男が介在したと言う。中継地のトルコでは協力者が逮捕までされている。我が国空港のセキュリティの甘さにも驚くが、彼は何故そこまでして日本から逃亡したのか?入国したレバノン政府は彼を日本に引き渡すつもりは全くないらしい。

 彼は、技術力は抜群だが、商品企画がまずくて売上が低迷し、また高コスト体質もあり業績不振となっていた日産自動車に、その技術力を買ったフランスルノーが提携し、送り込んだ経営のエースであった。彼は抜群の指導力を発揮し、積極果敢にリストラをし、長い付き合いで馴れ合った外注先を選別し、徹底した合理化策で瞬く間に収益性を改善させた。とは言っても、その手法は、多数の社員を解雇して人件費を削減し、外注先には、価格を極限まで下げたところと取引すると言うのであり、技術開発費等も切り詰めたため、その後の同社の技術には見るべきモノはないとまで言われた。当面の収益性は確実に高くなったので彼は日産内に不動の地位を得て独裁者とまで言われ日本の常識からかけ離れた多額の報酬を得た上に違法に資金を流出させた。

 さらに、彼は親元のルノーの指示で日産をルノーと合併させようとまでしていた。それに対し、元々からの日産の幹部達が危機感を抱き反発し、内部告発したと言われている。しかし、日本の司法が、私企業の内部抗争に対しこれほど力を入れるのに私は疑問を感じていた。検察はかなり強行で、彼を長期間拘留し、国際的に批判された。裁判所はそういう声に忖度したのか、多額の保釈金を積ませて拘留を解いた。そうしたら早々の逃亡劇である。

 彼はこの逃亡により、百数十億円と言われている資産の約4割を失ったと言う。彼の容疑である会社法の特別背任罪は最高で懲役10年罰金1千万円である。また金融商品取引法の違反でもやはり懲役10年で罰金1千万円が最高刑である。粗暴犯ではないので執行猶予がつくだろうから、彼は日本に居てもそれほど不自由ではなかったろう。また腕利きの弁護士が付いていたのだからいずれも無罪となる可能性だって否定できない。だから彼が逃亡したのにはもっと深い理由があったとみるべきであろう。

 彼が日産から不正にかすめ取った多額の資金は、一説によるとタックスヘイブンを利用していたらしい。また、国際的なマネーロンダリングもしていたと言う。何れも、マフィアやテロリストが行う手口であり、アメリカの司法当局が必死になって追っている案件である。カルロス・ゴーンはその網に引っかかったのではないか?その資金が反米だったブラジルやアラブのレバノンなどに流れていたことはアメリカの神経を逆なでしたであろう。民間会社の内部抗争に日本の検察がこれほど躍起になっていたのはアメリカからの圧力があったならば頷ける。彼は日本の司法からと言うよりも、日本に居れば容易にアメリカに引き渡されるのではと危険を感じて逃げたのではないか。