会長 深田一弥の異見!

2013年9月11日

2020年五輪開催地決定とテレビ報道

 2020年夏のオリンピックの開催地が東京に決定した。前の東京開催を知る者にとっては嬉しく感無量だ。高円宮妃殿下の上品なスピーチも素晴らしいし、地元宮城県出身のパラリンピック佐藤選手も聞く人の琴線に触れる内容であった。また安倍首相の自信に満ちたリスク対応宣言は、福島の汚染水問題に懸念を持っていた委員に安心感を与えたのであろう。

 他の都市、特にマドリードが急速に追い上げてきてほぼ本命視されていたし、イスタンブールも劣勢ではあったがイスラム圏初という強みがあったのでどうかと思っていた。東京には、福島原発問題が進行中と言う弱点や何れ来る大地震と大津波や富士山噴火も心配であった。しかし、他の都市もそれぞれに多くの弱点を抱えていて、それらの弱点を比較検討した結果、それでも東京の方が未だ良いと判断したと言うやむなき選択ではなかったのか?

 ところで、2020年オリンピック東京開催決定のテレビ報道が決定の翌日はしょうがないとしても、何日経っても、どのチャンネルもオリンピック東京開催決定フィーバーなのには驚きを通り越し、あきれてしまう。ロゲ委員長が五輪マークのカードを裏返しながら「トキョウ!」とコール、日本側スピーカー達の顔、決定の瞬間のチームの小躍りして喜ぶ様を繰り返し、繰り返し、延々と流し続けていることである。まるでテレビにそのような報道規制がかかっているかのようだ。

 国民の大半が文句なしに喜んでいることなのだから。とは言うものの、外にも大事なニュースは沢山あるだろう。例えばシリア問題に心配な人も多いし、経済の動向、隣国の情報その他諸々があるのにオリンピックの一色だけで良いのか大いに疑問を感じる。オリンピック開催を否定的に受け止めている人達だって居るだろう。

 例えばオリンピック期間中、大地震や大津波或いは噴火等の災害が起きたら、世界中から来ている人達にどう対処するのか、避難、宿泊、食料、帰国等?安倍首相の原発汚水処理宣言は実現や如何?などの課題を取上げる局がいくつもあるテレビ局の中にどこもないのか?災害対処の準備はどんなに早めであって悪いことは絶対にない。何せ「そろそろ来るぞ」と国民にPRしていることでもあるしオリンピック開催期間中だけ災害が避けてくれるとの保証はないのだから。

 テレビのニュース報道はどこも一律で国民をバカにした放送が多いと思うのは私だけであろうか。決してテレビ記者達の能力がその程度だとは思わないのだが、経営陣の意向か?或いはスポンサーか?私は民間放送と言えどもせめてニュース報道だけは公正中立を保つべきであると思うし、そのためニュース番組にはスポンサーを付けるべきではない。それは経営上無理と言うならば民放のニュースは公正中立ではありませんとテロップを流すべきだ。

 今、民間放送の視聴率競争があるし、それに勝った放送局はスポンサーも得やすいし、CM料も高いらしい。しかし、それだけではジャーナリストとして恥ずかしくはないのか?テレビだけに限ったことではないが、福島原発事故の際、大スポンサーの東電への批判が大手マスコミはどうしてもゆるやかで、鋭く厳しい批判をしたのはフリーランスのジャーナリストであったいうことも覚えておくべきだろう。

 「マスコミは金に転ぶな」少しは「武士は食わねど高楊枝」の心意気を示せと言いたい。日本のテレビマン達よ、国民を白痴化させる番組づくりはもう止めて欲しい。


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