国は大きくない方が統治しやすいのに
帝国主義の時代は終わったのに、未だに他国を侵略し領土を拡大しようとしている大国が2つある。1991年、ソビエト連邦が崩壊し、十数の独立国が誕生した。ソ連時代もいくつかの共和国があったものの、モスクワの中央集権体制の下に統治されていた。しかしそれぞれの民族の独立意識や共産主義体制に反発する思想が強くなったところもあり、鉄の結束が崩れてきた。それには共産主義では国家経済が持たなくなってきたこともあるだろう。しかし、ロシアでは2代の大統領では自由主義経済体制がうまく移行出来ないでいるうちに現在の大統領になった。
ところが彼は自由主義体制を強化するのではなく、共産主義体制ではないものの、ソ連時代の中央集権かつ強権主義の国家体制にしてしまった。さらに彼はかつての旧ソ連時代の連邦内の国々をロシアの政治体制の中に組み込もうとすらしている。それに反発する国には武力でもって侵攻している。かつてのチェチェン紛争もそうだし、現在のウクライナ侵攻も全くそのとおりで、彼は何れバルト三国そしてポーランドやチェコにも侵攻するだろうと言われている。
一方、中国は連邦制ではなかったが、第二次大戦後、かつての満州、モンゴル自治区、ウイグル自治区、そして独立国だったチベットにも侵攻して自国の領土に組み込んでしまった。特に現在の主席の体制になってからはさらに中央集権的かつ強権主義でそれらの地域を統治している。しかし、ロシアの例も中国の例もそうだが、民族の独立性や政治思想の自由度を奪って無理矢理統治しても誰が幸福になるのだろうか。
ロシアに組み込まれたチェチェンの住民は幸せなのだろうか、ウクライナ国民はロシアに組み込まれたいと思っているのか。さらにロシア自身の国民は兵として戦線に出されて生死の危険にさらされているのは幸せなのだろうか。
中国の場合も旧満州の住民、内モンゴル、ウイグル、チベットの住民が幸せであるという情報は全くないし、侵略側の中国の国民からもそれらを組み込んで諸手を挙げて賛成していると言う情報もない。結局、ロシアや中国のトップだけの自己満足だけではないかとさえ思える。
本来国のトップとはそこの国民の幸福を追求してそのために尽力していくことが21世紀になった現在の使命ではないのか。地球上で他に大国としてはアメリカがある。アメリカの政治体制が決して完璧とは言いがたいが、トップに大統領は居るものの50の州があり、それぞれにそれなりの自治が任されていて、決して中央集権かつ強権で治めて居るわけではない。州ごとの特色があり、それらが集まって連邦制になっている。例えば民主主義体制ではなくても、共産主義体制であっても、いくつかの国あるいは州に分かれてそれぞれに自治を任して、連邦組織にしていくことも可能ではないのだろうか。どうもロシア、中国の両トップに言えることは、他者の介入を嫌がり全て自分の意思だけで統治したいとの独裁者的な心の狭い人格なのではと思うし、また強権でないと統治できない自信のなさの表れと思う。また領土を拡大しそれら地域の資源も全て自分たちで奪ってしまおうという住民の幸せなど歯牙にも掛けない大変欲深な人間ではと思ってしまう。それに両国とも彼らの統治以降経済もガダガタになってしまっている。
国とはほどほどの大きさの方が統治し易いし、それらの国々間でモノを流通させていけば経済が活性化しそれぞれが豊かになり、そこの住民も幸せになれるのではと思う。