会長 深田一弥の異見!

2019年7月5日

芸能人と反社会勢力

 有名なお笑いの芸能人が、所属しているタレント会社をとおさずに、反社会勢力のパーティーに出席してギャラを直接貰う、いわゆる闇営業をしたとして社会問題となっている。テレビでは連日このことで同業の芸能人や評論家が出て喧々ガクガクかまびすしい。興行などで芸能界側が反社会勢力を頼ってきた歴史もあり、両者の関係は根が深い。

 ところで会社に属している芸能人が、会社を通さないで営業をした場合、つまり闇営業は、所属会社とその芸能人との関係であり、それについては他人がとやかく言うべきことではないだろう。問題は、反社会勢力のパーティーに出席したことなのだと思う。この場合の反社会勢力の連中とは、オレオレ詐欺などを働いていた犯罪者達のパーティーで、彼らは高齢者達をだましてお金を巻き上げているようなことをしていたらしい。

 今、盛んに言われているのはお年寄りから巻き上げたお金を、それと知りながら、手にした芸能人は許せないという風潮のようだ。そんなお金は返すべきだと言う意見もあるようだ。でもちょっと待って欲しい。芸能人とは「芸」を売るのが商売だ。芸を売って得たお金の出所がどんなものかまで調べる責任があるのか問いたい。

 もし反社会勢力と知りながら、飲食の接待を受けたり、お小遣いを貰ったのであれば、それは糾弾されるべきだろう。しかし、自分の芸を売って得たお金は、芸能人の働きによる正当な報酬ではないのか?そのパーティーが反社会勢力の者達が開いたもので、それらが犯罪で得たお金なのかどうかは、芸能人は知りようがないだろうし、そこまで注意を払わなければならないのか?お座敷が掛かった場合、断る権利が彼らにあるのか?芸能人は人気商売であり、もし一旦仕事を断ったら、評判が落ちてその後の仕事に響くことを当然に心配するだろう。

 例に挙げるのは妥当でないかも知れないが、反社会勢力に属する者から弁護士が弁護依頼された場合、そのお金は犯罪で得たものだからと言って報酬を貰うのを断るべきなのか?我々税理士も反社会勢力に属する者から税務申告を依頼されることがありうる。税理士は資格で独占している業務なので依頼されたら正当な理由がなければ断ることができない。それで税務申告の代理をした場合、反社会勢力に属する者からは報酬をもらえないのか?

 何度も言うが、闇営業はあくまでも芸能人と所属会社間の問題だ。ここで問題とするのは芸能人が反社会勢力のパーティーではその芸を披露して報酬を得てはいけないのだろうか?その芸に対して妥当な金額の報酬を得るのは正当な権利だと私は思う。それがどういうことで稼いだお金なのか、まで詮索するのを芸能人に課すのはあまりに重すぎるだろう。

 今、それらを糾弾している者達に聞いてみたい。もし貴方が、芸能人だったとして、反社会勢力であることをかくしてパーティーに呼ばれて、どうもこの人達は普通の人達ではないと分かった場合、その場で仕事を断ることができると思っているのか?また、それと知りつつも芸を終えてギャラを渡された場合、あなた方からのお金を受け取れないと断ることが出来るのか?彼らもそういう人達からの仕事は、出来れば受けないに越したことはないが、受けてしまったのは仕方がないだろう。

 今回の件について様々に糾弾している意見は、売れっ子芸能人に対しての妬みではないかと私は思う。


最近の投稿

もっと見る