自民党と旧統一教会
これほど世間を騒がしている話題なので、無視できないし、書かざるを得ないのだろう。今年7月の参議院選挙の選挙期間中、候補者の応援で来て、奈良市内での街頭演説中兇弾に倒れた安倍晋三元首相。それだけでも我が国では十分センセーショナルであるのに、その後明らかになった自民党と旧世界基督教統一神霊協会(以下、旧統一教会)との関係がこれほど深くズブズブになっていたとは全く知らなかった。
安倍政権になってどちらかと言うと自民党は右旋回しているなと思われ、それには明らかに右思想の強い日本会議との関係の強さであった。自民党議員の殆どと言ってよいほどの数が日本会議のメンバーだと認識している。しかし、それまでメディアも報じていなかった自民党と旧統一教会との関係がこの事件をきっかけに明らかになったことは襲撃事件と同様に衝撃的であった。
昭和の終わり頃だったと記憶するが、国際勝共連合と言う名が街にちょくちょく見られるようになっていた。共産主義の北朝鮮に対する韓国系の団体かなとは思っていたが、実体は旧統一教会であったことが最近分かった。恐らく、自民党議員の多くが、反共の考えを持っていることから、その実体は分からないまま入会し、いつの間にか旧統一教会との関係にまで発展してしまったのではと考えられる。
では何故、特に安倍元首相と旧統一教会との関係が深いのかと言うとそれは恐らくだが安倍の尊敬していた祖父岸信介元首相からの関係だったと推測される。岸信介は戦前、旧満州で官僚として辣腕を振るっていたが、日本敗戦によって極東軍事裁判により、A級戦犯として巣鴨刑務所に収監された。敗戦直後、米国は日本の民主化を進めるとしてGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)はその民生部(GS)が主導して、財閥解体、農地解放そして共産党を合法政党とした。
しかし、ソ連の勢力拡大や中国で共産党が力をつけてきたことからGHQは急に右旋回となり、権力は民生部から反共の参謀第二部(G2)に移った。日本国内も労働運動が盛んになり血のメーデー事件なども起こっていた。特に旧国鉄内労働組合が強く、それが松川事件、下山事件そして三鷹事件に繋がってくる。G2は日本国内の共産化を恐れて共産勢力への弾圧を強めた。そこでG2が目を付けたのが岸信介だった。A級戦犯にも関わらず、東条英機らが絞首刑をされた翌日彼は笹川良一、児玉誉士男らと保釈された。我が国を反共政治にするためのG2の工作である。いくつかの曲折を経て、岸信介は首相にまで上り詰めた。
彼の在任中、安保改定等でより右寄りの政策を行った。GHQのG2は、反共と言う点で米国CIAに繋がる。岸首相には常にニューズウィークの記者が側にいたが、彼はCIA要員と言われている。それでは旧統一教会との関係はと言うと、創始者である文鮮明は韓国民であるが北朝鮮とも繋がりがあるとも言われている。北朝鮮と韓国は同じ民族でもあり、私の知る在日韓国系の人でも兄弟や親族が北朝鮮に居て何らかの繋がりを保っている。
文鮮明はKCIA(韓国のCIA)の工作員だと良く言われる。それが事実であれば米国CIAとの繋がりは当然あるだろう。そうなると岸信介と文鮮明の旧統一教会と親しくなるのは自然であり、その岸信介を信奉している安倍晋三元首相と旧統一教会との繋がりは当然になってくるのだろう。そのことに気がついたのは、襲撃事件があったからなのである。