慰安婦発言について
今回は非常に重いテーマだが、やはり、はっきりしておくべきだと思う。橋下大阪市長の慰安婦発言について、韓国だけでなく米国をも巻き込んで世論が沸騰している。誤解がないように先に述べるが、女性の性を商品化することは女性人権への冒涜であるし、まして暴力でそれを侵すことは許されざるべき人権蹂躙であることは言を俟たない。
しかし、古代から世界中で「売春」と言う形で本人の意思か他からの強制によるかの別はあるが女性の性は商品化されてきた。また戦争になると、勝者は敗者側の女性を戦利品にしたり、敗者地域の女性を暴力で侵してきたのは厳然たる事実だ。近代国家の多くは占領地女性への暴力禁止の規律を軍に設けているが、激戦の後の勝利兵にはそう言う規律が時として無視される。
今、問題になっている「従軍慰安婦」と言われているのは、かつて日本の旧軍隊が中国大陸に攻め入った際、軍規で禁止しているにも関わらず現地女性への性的暴力が頻発した。やむなく、軍は、その手の日本人や朝鮮人業者に依頼して、日本兵の性の慰安所を設立した。そこの女性達には、当時としては高額の給料が支払われた。だから自らの意思で応募した女性は別である。しかし自分の意思に反して騙されたり、強制的に連れてこられた女性達は大変気の毒である。
但し、日本軍が現地女性を強制的に連行したという証拠はなく、女性本人の証言しかない。ところが日本の首相がかつてそれを認め謝罪する発言をしたのでそれが真実として世界に流布してしまった。ここは、我国のプライドのためにももう一度検証すべきであろう。
それでは慰安所を利用したのは日本軍だけかと言うと違う。太平洋戦争で勝利した米軍の上陸した兵隊達による、沖縄や横須賀等で日本女性へのレイプ事件が多発した。それで米国側から要請があったか、日本側が慮ったのかは明確でないが、時の政府は特殊慰安施設協会を立ち上げ従来の従事者では足りず大量の慰安婦を募集し米兵に提供(多いときで5万人)し、彼らは当然にそれを利用した。米軍は慰安所を設けないし買春も禁じているが、兵隊がオフに個人意思で利用するのは関知しないとの都合良い論理のようだ。
また当時フランスのノルマンディーに上陸した米兵隊達による仏女性へのレイプ事件が頻発し、時のフランス人は「ドイツ人が攻めて来たときは男が隠れたが、米軍が来たら女が隠れないといけない」と言ったそうだ。これも歴史の事実だ。フランスが慰安所を設けたかどうかは知らない。
慰安所を設けず軍規でレイプを禁止せずむしろ奨励したと言われる旧ソ連の兵隊達はさらにひどい、勝利者だから当然としてここにはとても書けない暴虐を集団で繰り返し行い、旧満州に居た日本人女性の多くが犠牲になった。それで妊娠した女性達に日本政府は大陸から引き揚げてきた上陸港で堕胎手術を施した。ソ連兵はドイツでも同様で、200万人の女性が犠牲になったという。
あるドイツ女性はソ連兵がのし掛かっている下で、「我が息子よ、よく見ておけ、戦争に負けると言うことはこういう事なのだ」と叫んだとの逸話もある。つまりこの件に関しては、アメリカを含めてどの国も胸を張って日本を非難できないのだ。
しかし、橋下市長の発言はTPOを弁えていない。こういう事は歴史の事実であっても、通常は敢えて触るべき事柄ではないからである。今回は、橋下大阪市長の品性の無さを糾弾するだけにしておくべきだ。