会長 深田一弥の異見!

2013年10月21日

小泉元首相の「脱原発」発言

 最近、小泉元首相の周辺が騒がしい、色々な場所で講演活動をしていてその場で「脱原発」を声高に発言している。現自民党政権特に小泉氏を兄貴分としている安倍首相にしては目の上のタンコブであろう。

 彼の発言は残念ながらマスコミを通してしか知ることが出来ないが、その要旨は「自分は3.11の福島第一原発の状況を見て、原発は安全だと言う信念が揺らいだ。原発は核のゴミを出すがその処分が出来ずドンドン溜まって来ている。先日、オンカロ(フィンランドの核廃棄物地下貯蔵処分場)を見て来たが、放射線量が人体に危険のない量まで減衰する10万年も貯蔵する。気の遠くなる年数だ。日本では地震があるし地下を掘れば水が出てくる、場合によっては温泉が出てくるのでこのような地下処分場は作れない。原発がないと日本の産業が駄目になるということはない。現に今、原発は動いていない。日本は技術力があるのだから自然エネルギー利用を国がもっと応援していくべきだ。要は首相が決断すれば良い」ということのようだ。

 これでは元首相の論としてはあまりに短絡的で、「原発反対」を叫ぶ震災以来一連の状況から得た巷の感情論と同じではないか?私も原発廃止論に与する者ではあるが、日本経済、現在のエネルギー事情、そして科学技術の発展等を考慮すれば、今、即原発廃止は非常に難しい。

 しかし例えば、原発は原則廃止と決め、先ず10年期限で全面廃止予定とし、それまでに国の全面的なバックアップの下、自然エネルギー等代替エネルギー開発をしていき、10年経過しても未だ無理の場合はさらに2年程度延長、というような現実論を提示するのが政治家の役目であろう。

 確かに彼は政界を引退したつもりかも知れないが政治家であるのは間違いない。元首相の論としては極めて貧弱でこれでは小学生程度の論である。もっとも彼が首相当時も決して深く考えての発言でなく、単純な言葉を繰り返し発言するのみであるので今回もそんなに深い考えはないのかも知れない。

 何せ首相当時、規制改革、特に金融制度改革で資金を止められた企業が倒産したことを記者から問われると「規制改革が進んでいる証拠だ」と宣うのだから、これでは識者も真面目な反論よりもあきれて黙ってしまう。

 しかし、マスコミはこういう事を言うとそれを面白がってドンドン情報を垂れ流すものだから、一般市民はそれで良いのだと思う人達も多いのだろう。本来報道機関の役目はそう言う場合には、筋の通った反論や諫言をしていくのが役目であろう。それがマスコミ人の矜恃であり責務でもあると私は思うが。

 かつて彼の持論であった郵政改革も郵政族を輩出した派閥をつぶすためのもので「自民党をぶっ潰す」と言ったのは派閥をぶっ潰す目的であったのが、郵政民営化はアメリカの国益になることでもあり、またその実行役として規制改革は我が国のためになると盲信している大臣の某学者に丸投げした。結果は自民党を潰すどころか日本を潰しかねない危ういことでもあった。

 小泉元首相の脱原発発言に戻るが、どうしてマスコミは彼の発言をおもしろおかしく取上げるのだろう。それが我国にとってどういう悪影響があるのか考えて欲しい。テレビで見ると彼の容貌の老化は激しく、頭も老化しているのではと思うが、元々それほどの頭脳ではないようなので。

 でも彼がそれを言うことで「脱原発論」を潰すための深謀遠慮であったとしたら、却ってその方が恐いが。


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