会長 深田一弥の異見!

2015年7月14日

客対応が良いと評判の旅館に宿泊したが

 私の住む隣県のある温泉地に女将の客対応が良いと評判の旅館がある。昨年、かつて大正浪漫の温泉街で有名だった温泉地の国際的に著名と言われる建築家の手による旅館に泊まってガッカリしたことは前に述べた。しかもこちらが接待役なのに先方が支払ったことから1年越しでその借りを返すべく希望を聞いたところ、その客対応が良いと評判の旅館に泊まりたいとのことであった。その評判とはかなり昔の事でもあり、現在も同様なのかやや懸念はあったものの予約をした。

 月曜日のことで比較的空いていたのにはホッとした。行ってみるとかなり大きな旅館で最大600人も宿泊可能とのこと。こんな大規模旅館で女将が評判の客対応が出来るのか疑問に思った。この旅館は事前に予約すれば宿泊客に「楽焼」ができるのも売りになっている。玄関から入るとエレベータホールまで廊下の両側にはびっしりと有名人が絵づけした「楽焼」の皿が飾られている。飲み屋の壁に来店した有名人の色紙が飾ってあるのを良く目にするがそれを連想してしまった。

 有名人と言っても宿泊者によって好き嫌いもあるだろうし、麗々しくそれらを飾ってあるのを見て、「ウチにはこんなに有名人が来ているのですよ」と自慢する経営者のあざとさを感じてしまった。それが客対応に優れていると言われる女将の仕業なのだろうか。そういうモノは別に場所を作って見たい人にだけ見せれば良いのだろうに。

 浴場は人が少なくゆったりと入ることができたのは良いがそれはどこの温泉旅館でも同様で取り立てて素晴らしさも対応の良さも感じられなかった。7時から食事の約束なのに特に部屋に連絡がある訳でもなく、我々が指定された宴会場に行って名前を告げ案内して貰った。

 そこの旅館のお勧めは肉料理だが、高齢者なので魚介や山菜をと希望していたので料理内容を期待したにも関わらす、それほどのものではなかった。しかも料理の出るのが遅く、飲物が切れて注文してもなかなか持ってこなかったり注文を忘れていたりと「もてなしの良さ」は全く感じられなかった。

 じれた私の客が「ここの女将さんは大変に客扱いが良いと聞いているが出来ればここに顔を出してくれないか?」と聞くと、「社長と女将は出張です」と返ってきた。確かにこれだけの規模の旅館に客を呼ぶには常に営業活動をしていないといけないのだろう。

 他の旅館と違う良さは、角々に置いてある花々はエレベータの中のも全て生花であること。仲居の女性達は聞くところによると殆どが若くしかも大学卒の女性達とのこと。中高年の女性仲居さんを見慣れている身には新鮮に映ったが果たしてそれら女性は中高年になるまでここで働いていることが出来るのか余計な心配をしてしまった。

 それら女性達に聞くと女将の客対応の指導は厳しく、しかも毎週研修も行っているとのこと。従って不躾な対応はされなかったが、もう少し気遣いを持てるような指導が必要ではと思った。その女将は、CA出身で他県から嫁いできてその客対応の良さで評判を呼び、近隣の旅館の中では抜群の部屋稼働率でここまで大きくしたと聞く。

 しかし、大団体の宿泊客は段々と少なくなり、今は家族や小グループの宿泊客が多く、大団体向けの旅館の経営は厳しいと聞く。大型温泉旅館のモデルとなった北陸の有名旅館は経営不振で一度整理したとも聞いている。全国で講演もしていると聞く有名女将さん、そろそろ方針転換しないと客に飽きられますよ。


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