万引きは犯罪だ
あるリサイクル店が自店から20数万円相当のフィギアを万引きした犯人の防犯カメラ映像の顔写真をインターネットで公開しようとして論議を呼んだ。その店もやみくもに公開ではなく、一定の期日までに犯人が盗んだ品を返してくれれば公開にまでは至らないとしている。これについてメディアでは専門家と称する人達が、それは私企業としては行き過ぎたとか、イヤ、その程度の事をしないと万引きはなくならないなど甲論乙駁である。
しかし、メディアに万引きの犯人を糾弾する番組や記事が極めて少ないのは何故なのか?万引きはれっきとした犯罪なのに。メデイアは先ず万引きを、そしてその犯人を徹底して糾弾してから後に写真公開の是非を問うべきではないのか?その店がどうかは知らないが、小規模な店では通常粗利益率も低く、一つの商品を万引きされるとその損失をカバーするにはその10倍以上の売上が必要とも言う。万引きが多くてやむなく閉店に追い込まれた店すらある。
どうも最近、万引きに対する罪の意識が低いような気がするのは私だけであろうか?テレビでも有名タレントやプロスポーツ選手が自分の若い頃万引きしたとか他人の自転車やバイクを拝借したなどと得々として語っているのを見聞きする。そうすると批判力のない子ども達は、そんなことをしてもあんな有名人になれるのだからと、万引きに対して罪の意識がないか極めて軽く考えるのではないか?私はそういうテレビ番組を見ると吐き気を催す。つまりメデイア関係者もその程度にしか考えていないのであろう。これでは万引きはなくならない。他人のモノを盗ればどんなに安いものでも犯罪だということをメディアはキチンと流すべきなのだ。
あるスーパーの店長から直接聞いた話だが、中学生数人が店内で一斉に売り物の弁当を持って出口から逃げて行ったそうだ。売り場は店員が少ないので追いかけられないのを知っていてやられたそうだ。しかし、事を荒立てると地元密着のお店なので地域住民から不買運動と言っても積極的でなく自然と買いに来なくなるなどの陰湿な仕返しを受けるそうだ。それが怖いので時々警察官に見回って貰っている程度だと言っていた。こんなおかしな事が今我が国でまかり通っている。また子ども達だけでなく、フリーマーケットに出店している業者の話だが、一人で店番していると中高年の女性が数人のグループできて、あれこれ商品を手にとって見て少しは買うものの、その集団が居なくなると代金を支払った数倍の商品がなくなっていると言う。
日本人は他人のモノを手に掛けないと言う美談はどこにいったのであろう。幕末に日本に来た西洋人は、自宅に小銭を放り投げていても、女中、下男、職人がそばを通っているにも関わらず誰もそれを盗るような者は居ないので驚いたと言うことが何かの本に書かれていた。つい最近まで日本に来た旅行者が盛り場に財布を忘れても中身はそのままで交番に届けられていて驚嘆したという話はどこに言ったのだろう。2011年の震災時の被災者の規律正しさ、2014年WCサッカーの日本人サポーターの話はつい最近の事なのに。
多分、万引きをする少年や中高年女性は極々一部の者達なのかも知れない。しかし、メデイアは軽微な犯罪でも断固としたメッセージを流すべきだ。そういう話題を出したお笑い芸人や歌手、プロ選手達等は視聴率が高いと言っても絶対に今後出演させないなどの矜恃を持つべきだ。