会長 深田一弥の異見!

2016年9月21日

メディアは東京と言う地方のニュースばかり垂れ流すな!

 最近のメディア特にテレビのニュース番組やワイドショウを観ると東京都の生鮮市場の移転問題ばかりだ。確かにその内容は、当初の計画、設計、そして管理を含めてあれほど莫大な金額を投資していながら見れば見るほど聞けば聞くほどお粗末な対応とあきれてしまう。この問題の発端は石原都政の頃からで、今、メディアからのインタビューを聞いても彼はあの人を食ったような口ぶりでメディアを罵倒しているが、在職当時如何に都政に対するガバナンスが甘かったかを表している。

 小池新都知事は石原氏からも事情を聞くと言っているようだが、恐らく彼のことだから、権限を委譲しているのだからそんな細かいところまで感知しないと彼独特の論法で責任逃れすることは想像に難くない。文筆家としての才はあるのかも知れないが、国会議員ではあったものの政治には殆ど素人同然の彼を持ち上げたメディアの責任も大きい。東京都民は日本の人口の約10%であり、昼間人口はその何割か多いのだろう。それらの人達の口に入るものを扱うのであるから生鮮市場の移転問題は大きなニュースであることは間違いない。

 しかし、どれほど全国国民がこのニュースに関心を持つのであろうか?結局、煎じ詰めれば東京都と言う一地方のニュースではないのか?大手テレビキー局の多くは本拠地が東京であるので東京のニュースは扱いやすいのだろう。そこに他の道府県への情報という観点がスッパリと抜けている。全国から築地の市場へ生鮮食品が集まるのであるから全国の生鮮関係の業者にとって築地に行くのか、豊洲に行くのかの違いぐらいはあったとしてもそれは荷物の行き先が変わるだけだろう。それらに関わらない殆ど多くの人々にとっては関係ないことである。

 日本の首都は東京であり、政府や行政は全て東京にあることからそれらに関するニュースの発信は殆ど東京からである。それがメディアをして東京のニュースは全国民が関心を持っていると誤認してしまうのではないか?これもメディアに関わる人達の思考の浅さを表していると言え、メディア関係者は大いに反省して貰いたい。

 全国民が東京都の生鮮市場移転問題よりも関心を持っていて、もっと情報が欲しいと考えている事柄は他にもっと多くあるのではないのか?例えば国際問題特に國の安全に関することや、経済問題、国内問題でもアベノミクスと日銀の対応だけで本当にわが国経済が良くなるのか?グローバル化で益々貧富の差が大きくなっているのを防ぐにはどうしたら良いのか?色々ワイドショーでも取り上げられる課題は沢山あるだろう。

 都知事選当時、小池候補を「厚化粧」と揶揄した石原と小池の対立構造はワイドショーとしても面白いのかも知れない。しかし、所詮ローカルの話題である。東京の事であれば全国民も興味を持つだろうとの東京人の思い上がりなのだ。地方の時代などと持ち上げるくせに所詮メディアの考えているのはこの程度なのだ。日本のメディアはもっと大人で理知的であるべきと猛省を促したい。

 ここで面白い話をお教えしよう。青森県はリンゴの産地で、かつて青森駅の向かいにリンゴを売る大きな市場があり、観光客でいつも人だかりがしていた。そこに段ボールの切れ端に「地方発送承ります」と書いてあるのを見た地元メディアの記者がその店の小母さんに「どの地方に送るのが多いですか?」と訊くと、その小母さん曰く「やっぱし東京だな」と応えたそうだ。


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