会長 深田一弥の異見!

2016年6月29日

ここまで落ちたか若い親のプライド

 認可保育園の理事会に出席したと言う知人から驚くべきことを聞いた。その理事の幾人かは自らも認可保育園の経営に携わっているので訊くと異口同音にそうだと言ったのだそうだ。それはこういうことだ。認可保育園への入園は狭き門で特に都市部では大変で国会においての議論にまでなったことは記憶に新しい。さすがに「日本死ね!」のブログ問題以来幾分か緩和されるのではないかとの期待を寄せられているが、依然として未だ狭き門であることには変わりない。

 そのような状況でも認可保育園に子どもを優先的に入園させる近道があると言う。それは夫婦でありながら偽装離婚をして母親が子どもを引き取ったことにすると母子家庭となるので入園しやすくなる。さらに母親の収入が少ないか、全くないと生活保護まで受けられ、なお一層子どもが認可保育園に入りやすくなると言う。そういう道はあっても普通の人はそんなことはしないだろうと思うとさにあらずで、ママ友同士でそういうことをするグループがあるらしい。ある職場ではそこに勤務している子持ち女性は一様にそういう申請をしていると言う。

 しかし、あくまでも偽装離婚なので子どもの送り迎えに父親がしょっちゅう現れると言うし、どう言うわけか大抵彼らは立派な自家用車に乗っていると言う。それも恐らく車の名義は戸籍上の元夫にしているのだろう。中には偽装離婚してもさらに子どもまで作る輩がいるらしい。あまりにも偽装が見え見えなので生活保護受給はおかしいのではと行政に連絡しても、行政は「あくまでも戸籍上離婚しているし本人申請なので」と消極的だそうだ。実地調査をしないのかと訊くと、家を訪問し夫らしき男が居ても「彼です」と言われればそれ以上行政は立ち入れないそうだ。多くの場合は玄関口から上がらせて貰えないので実地調査をしても無駄だと言う。

 一方では、本当に離婚して子どもを引き取り、生活保護を受けずに貧しいながらも健気に生きている女性も居るのに、あまりに不平等だと保育園関係者達は憤っていると言う。これは明らかに公金の詐取だろう。警察はこういうところも厳しく取り締まるべきではないのか。彼らは当然の権利のごとく振る舞っていて罪の意識は全く無いらしい。

 かつて貧しくても、皆さんに迷惑は掛けたくないと生活保護申請を勧められても断り続けていた人が多かったと言う話があったが、そういうプライドはどこにいってしまったのだろうか。先日東京都知事のMが政治資金の個人流用で退任することとなったが、人の上に立つ人間が率先してそういうことをしているので、そういう輩が増えるのはやむを得ないかと暗澹たる思いに駆られる。

 江戸末期に日本に来た欧米人が、貧しい庶民に至るまでお金には恬淡としていて他人のお金には手を付けないので驚いた事を聞いたことがあるが、今の日本人はこういう恥知らずの手合いが多くなっているのだろうか。どうもグローバリズムと言う名で拝金主義者達が跋扈している風潮と無縁ではないような気がする。

 最近見た映画「殿利息でござる!」は郷土仙台藩の一宿場町の商人達が疲弊していく宿場を救うためなけなしのお金を出し合い藩にお金を貸してその利息を自ら懐に入れるので無く全てを地元民に分け与えて疲弊から救った。しかし彼らはそれを鼻に掛けるので無く寄り合いでも末席に座り子孫にもそのように振る舞うよう言い伝えたという。そういう「無私の日本人」はどこに行ったのだろうか?


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