会長 深田一弥の異見!

2017年12月18日

「横綱」をむやみに与えるな

 相撲には詳しくないので、書こうとは思わなかったが、あまりにマスメディアが騒いでいるので無視するわけにはいかないだろう。大相撲秋の巡業中に鳥取市内のカラオケ店で行われたモンゴル力士達による飲み会の二次会の席で、横綱日馬富士が高砂部屋の新鋭力士貴ノ岩の頭を素手の外に何らかの固い物で殴り、かなりのケガをさせた件である。

 貴ノ岩が所属している貴乃花部屋の貴乃花親方は常日頃からモンゴル出身力士達がつるんでいるのを快くは思わなかったらしい。1対1の格闘技なので所属部屋が異なる力士同士は敵であり、それが仲良くなることで土俵上に悪影響が出る懸念からと言われている。今回は、貴ノ岩の出身高校のOB会があるとのことなので、厳しい貴乃花親方も出席を許したらしい。

しかし、一次会から白鳳はじめ出身校と関係ない力士達も居て、出席者は一様に驚いたと言われている。一次会の席から貴ノ岩への指導が始まったらしい。指導なのか単なるイジメなのかは同席した者達の記憶がバラバラのようなので何とも言えない。それが二次会になるとエスカレートしたことが日馬富士によるあれほどのケガに発展したと言われている。傍に居た力士達は止めた者も居たようではあるが、力士のスピードと力は半端ではないのだろう。殴られた貴ノ岩も先輩からの厳しい指導だと受け止めたのか、殴った日馬富士へ一度は謝罪をしたらしい。殴った方が殴られた方から謝られると言う構図は日本の旧軍隊教育と似ているようだが。

 貴ノ岩は当初親方には黙っていたものの、何れ知ることとなり、親方は可愛い弟子が他部屋の力士達にいじめられてケガをさせられたとの認識なのだろう。相撲協会に処断を委せればうやむやにされてしまう懸念から地元警察に被害届けを出したようだ。日馬富士は警察から検察に書類送検されて今後の行く末はどうも貴乃花親方の出方如何に掛かっているようだ。そこでマスメディアは貴乃花擁護派と相撲協会派に分かれてかまびすしい。

 日本相撲協会は公益財団法人なので、行政の監督下に置かれているので社会的には迂闊な結論が出すことはできないであろう。当然に理事会だけでなく、理事の任命権を持つ評議員会での議決も必要だ。しかし、別な面から見てみると、格闘技に属する大酒飲みが普通のあんちゃん達が酒の場で起こしたことと考えればどうだろうか?それが横綱だというから事が複雑になる。

 また、モンゴル力士達がつるむのも良くないことかも知れないが、異国で孤独ながら頑張る若者同士が土俵を離れた場で励まし合うのもあながち悪いことだけとは言えないだろう。それが酒に酔えばついつい行き過ぎてしまうこともあるだろう。しかし、それがイジメであったとしたら別な問題だ。酒の席で指導すると言うことはあってはならないことで酒は楽しく飲むべきだろう。行儀作法の未だ出来ていない若者達なのでそこはキチンと大人の誰かが教えるべきだ。

 ところで表題の「横綱」だが、単に強いだけで、また興行の都合だけで「横綱」を与えるのは良くない。「横綱」とは、相撲を通じて心技体が完成した者にのみ与えるべきだが、最近は心が出来ていない横綱が多いと思うがどうだろうか?かつて江戸時代に強さでは傑出していたと言われる雷電為右衛門という力士が、終生横綱にはなれなかった故事を良く考えてみて欲しい。番付表に「横綱」は一人居るか或いは全く居ないかぐらいが丁度良いのではないか。


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