所長 深田一弥の異見!

2021年8月2日

米中戦争はあるのか?

 今は、2020東京オリンピックの真最中。コロナウイルスが蔓延する中、医療専門家が言う開催中止か延期が当然だ。しかし、そうなると日本政府だけでなくIOCの被る損害は半端ない金額になる。だからオリンピック開催はしないといけない状況に追い込まれた。我が国政治家のリーダーシップの無さがここでも暴露された。そうは言うものの連日の日本選手の活躍にはつい拍手を送ってしまう。

 ただ、テレビ・新聞等のマスメディアは、まさにオリンピック一色で、それに加えてコロナの話題が殆どである。大事な国際情勢や経済問題などは片隅に追いやられてしまった。国際情勢は今や中国問題をはじめ刻々と変化している。我が国尖閣周辺への領海侵犯は頻繁だし、南シナ海周辺国が領有を主張する島嶼群への基地建設も同様だ。

 さらに不気味なのは国是として掲げている台湾解放である。台湾があのようになったのは以前もこの覧に書いたが、米国は日本と戦争中、中国国内では連合軍に参加していた国民党軍を応援していたが日本が降伏するや応援の手を緩めたため国民党軍は共産軍との戦いに敗れ台湾に敗走した。事の重大さを認識した米国があわてて国民党支持を再開した時には国民党の大陸侵攻は無理になってしまっていた。それでも国民党政府を中国唯一の政府として国際連合の常任理事国にしていたが、ある時以来共産党政府を中国唯一と方針を変えてしまった。

 それでも米国は継続して国民党というよりも台湾政府を支援し続けている。中国は、台湾は中国の一部だから共産党政府が統治すべきと主張している。それで台湾統一のためには武力解放もやむなしが共産中国の方針だ。米国はかつての義理と台湾に民主主義を残すべきとの考えで、武力解放は許さない。

 戦力が圧倒的に米国の方が勝っていた頃は、台湾統一はお題目でしかなかったが、今や経済大国そして軍事大国に育った共産中国は武力解放できる戦力を持ってしまい、日増しに台湾への圧力を強めている。しかし一国二制度を続けるとの国際的な約束にも関わらず香港に民主主義は無くなってしまった。だからいくら習近平が台湾を解放した後、一国二制度を守ると言っても全く信用はできない。

 共産中国が台湾を武力解放しようとしたら、米国政府は民主主義を守るとの前提で中国と戦端を開くことになるだろうが、果たしてそれはあるのか?それが共産中国建国100周年に当たる2049年までであろうと言うのが大方の見方だ。しかし、と思うが、現在の米中間の経済関係がこのままの状態が続くならば米中戦争には絶対に起きないと私は断言できる。

 先ず、これだけ中国が経済大国になれたのには米国への輸出額が半端でなかったからで現在でも中国の総輸出額の約20%を占めているし、また国内にもテスラやアップル等米国企業の生産基地があり中国の国内経済に貢献している。それらを放擲してまでも台湾を武力解放に向かうことはないと言える。習近平とてかなりの戦略家であろうから、かつての我が国軍人政治家のように総輸入額の40%、石油輸入は80%の米国と戦争するというような愚を犯すことはないであろう。

 それでも怖いのはロシアのクリミヤ半島占領のように、住民からの要望があったことを理由に共産軍が台湾に進駐するという懸念は払拭できない。ここは台湾住民が十分留意すべきで常にそういう懸念に至らないよう台湾市民の民主主義の意識を常に保っていくことが必要であろう。