所長 深田一弥の異見!

2021年7月6日

コロナ後の重税を懸念する

 コロナ禍で経営が厳しい企業は多いと思うが、倒産件数は意外と少ないと聞いている。それには各種の給付金、補助金等の存在が大きい。それらを一括して管理する経済産業省の現職若手役人が、ペーパーカンパニーを設立して多額のコロナ支援給付金を搾取していたとのニュースには驚いた。日本の公務員の清廉さは世界一と思っていたが、こういう手合いもいるのだとあきれた。

 ところで企業や個人生活を助ける様々な給付金等の大盤振る舞いで助かっている企業は多いのは、それら企業を顧問している我々税理士にとってはありがたい。しかし、個人へ10万円の定額給付金で12兆円、企業への持続化給付金、家賃補償金等々それに何とかキャンペーンで数兆円、海外からのワクチン購入だけでも1兆円。これほどの大判振る舞いをしてしまったのだから、コロナ収束後は、出したお金を何とか回収しようと財務省は手ぐすね引いて課税強化を考えているのではないか。

 それが法人税・所得税の直接税になるのか、あるいは消費税をEU諸国同様15%にでもしようとするのか?中小企業の経営者は異口同音にこれからは貰った給付金等は税金で取り戻されるのだろうと懸念を語っている。しかし、当初政府は消費税を3%から絶対に上げないと言っていたにも拘わらず、5%、8%そうしてとうとう10%にまで上がってしまった。

 政府はバブル崩壊後、デフレ不況を何とか緩やかなインフレにしようとしたがなかなか思うように行かなかった。日銀は黒田総裁になってから禁じ手の国債引き受けをしてまで異次元の金融緩和をし、さらにマイナス金利という前代未聞の政策をした。それにも関わらず、一向にデフレを脱却できないでいる。

 供給側の企業だけをいくら応援しても駄目で、やはり一般消費者の需要が拡大しないと景気は回復しないのだ。そのため企業には給与を上げて欲しいなどと日銀総裁が言う言葉でないことまで彼は口に出すようになった。こんな状態なのに、コロナが収束して後、消費税率アップなんてことになったら益々消費意欲はなくなり、さらに深刻な不況になりかねないだろう。

 消費税とは企業が負担しないで最終消費者が負担すると言ういわゆる庶民課税なのだ。庶民がお金を使わない、使えないから景気は回復しない。今、景気が良くなったと言われる米国には消費税はないのだ。

 そんな時、「一定期間に区切って消費税率をゼロに、その財源は国債発行で」という本が出た。それは安倍、菅両政権の内閣官房参与でもあった京大の藤井聡教授の持論であり、教授は日本が国債をドンドン発行しても一向に財政破綻にはならないと言う「MMT理論」の支持者でもある。その本の題名は「こうすれば絶対良くなる!日本経済」で、政治評論家の田原総一朗氏と藤井教授との対談形式になっている。

 但し、私は、藤井氏の論の全てに同調するのではない。例えば公共投資を積極的にすべきは、賛成だが、現在のような低価格での一般競争入札ではその効果は限定的である。景気回復を目的とするなら、公共投資は企業に利益を確実にもたらす価格で発注してこそ成果が挙がるのだ。

 また、JR東海のリニア新幹線の工事進捗を主張しているが、現在のリニアルートは自然環境破壊の懸念と、原発2ないし3基も必要という膨大な電力需要を考えると疑問である。それらを別にして「消費税率ゼロ」は極めてショッキングな提案だが、やってみる価値はあるのではと思う。