所長 深田一弥の異見!

2018年8月18日

そっとしておけ!

 お盆で母親が山口県の実家に里帰りしていた2才の男の子がその兄弟達と祖父が近くの浜辺に連れて行くのを途中で引き返したまま行方不明になってしまった。警察と地元民が協力して大捜索をしたが2日経っても見つからない。それを新聞のニュースで知った敢えて名前は出さないが78才のご高齢ボランティアであるOさんが現地に入り、3日目の早朝、その男の子は無事発見された。呑まず食わずの3日間でその男の子はよく衰弱しなかったことにも驚く。また、現地はイノシシも徘徊するような危険もあるところと言う。

 Oさんは、警察や地元民の捜索方法とは異なり、子どもの習性を考慮して、これは絶対にそのまま上に登っていったものだと見当を付けて捜索したとのことである。前夜にその子のお母さんと会い、絶対にその子を見つけてお母さんに直接手渡すと約束をしたそうだ。口約束でも約束だからと、発見後警察官がその子を渡してくれと言うのを断り、「自分の手でお母さんに直接渡すんだ」としっかりとその子を抱きかかえて山を降りてくる姿をテレビカメラが捉えている。お母さんはじめ家族の方々の喜び様は半端ではなかったろう。不明後3日も経って、しかもとりわけ酷暑の夏で家族の中にもあるいは?と言う気持ちも出てきたかも知れないし、まして捜索隊の人達も同じであったのではないか?それをOさんは捜索を初めて30分も経たないうちに正に神がかりのようにあっさりと発見したのだから。

 メディアはスーパーボランティアと持ち上げて、ワイドショーに引っ張りだこである。男の子が不明になった責任者である祖父がOさんに是非家に上がってご飯を上げたいと言うのをボランティアですので食事は全て自分で用意していますと断り、それではせめて風呂だけでも使って下さいというのも断っていた。正にボランティア道に徹していると感動した。夕刻、近くの港で持参の簡単な夕食を摂り、一旦大分の自宅に帰り、また、豪雨被災の広島にボランティアに入ると言い残し、軽自動車の愛車に乗り宵の闇に消えていった。最近とみに姿を見ることが少なくなった「無私に生きる昔気質の日本人」を見る思いであった。それでも日本には探せば、名声を求めず、代償も求めず、他人のために尽力しているこういう方はまだまだ居るのであろう。またそう思わずには居られない。しかし、大分からわざわざ車を運転して山口に入り、素晴らしい仕事をした後で報道陣にも対応し、年齢からして大変お疲れのこととは思う。

 しかし何と、大分の自宅にまで報道陣が押しかけてインタビューをしていたのにはあきれるのを通り越して怒りすら感じざるを得ない。確かに、メディア受けするニュースではあり、特に最近は暗いニュースや腹立たしい情報ばかりのところに一服の清涼剤とも言えるニュースではあるが。ご本人は、決してそれを誇りにするわけでもないので、次のボランティアの準備もあるのであろうから、もう「そっとしておいてやれよ」と言いたくなるのはテレビを見ている者達でもそう思ったのではないか?こういうところはメディアのいやらしさで、自局、自紙だけでも何か他と違う情報が欲しいと競争し、結局、その対象の都合など考えないで暴走してしまう。少しは反省しろよと言いたい。これは我が国のメディアだけなのだろうか?ご本人にインタビューしなくてもいくらでも情報を得る方法はあるだろう。今回もメディアの無能さを実感した。