所長 深田一弥の異見!

2021年3月2日

「FIRE]って何だ

 先日テレビを見ていたら、最近の一部の若者には「FIRE」がブームだと言う。最近流行のソロキャンプで焚き火をし、炎を見つめながら自分自身の生き方を考えるのかと思ったら、そうではなく「Financial Independence. Retire Early 」で、つまり、在職中に財テクでお金を貯めて、なるべく若い内に会社を退職し、人生を楽しむということらしい。中には仕事をするが社則に縛られないで、フリーランスで過ごすことも含むらしい。

 お金を貯める為には生活に無駄な出費を極力減らして、友達付き合いもしないし、恋愛もしないという。中には結婚していて夫婦でそれを目標にしている輩も居るらしい。当然、子作りはしないのだろう。テレビでは30代の青年が大卒後一流会社に就職したが、給料が割と高かったことで、貯蓄と財テクで数千万円を貯めたところで退職して、平日からハイキングや温泉巡りなどをして生活を楽しんでいると言う。また、二人合わせて手取り月収約40万円の若夫婦がやはり「FIRE」目指して頑張っていると言う。

 このブームはアメリカ人の著者が書いた本のタイトル「FIRE」からだと言う。アメリカでは持てる者、持てざる者の2極分化が激しく、前者は働かなくても豊かな生活をエンジョイしているが、後者はいつまでも低収入で働けど楽にならない悲哀を感じている。そういう人でも財テクで前者になれるという指南書があるらしい。それが日本でもかつての1億総中流から、アメリカほどではないものの2極分化が社会現象になってきていることを敏感に感じた若者がそういう指向になっているのだろう。しかし、日本の「FIRE」はアメリカほどのダイナミックさはなく、どちらかと言えば慎ましやかで清貧に甘んじている感がする。

 しかし、若者のそういう風潮に、私は疑問に感じる。私自身も若い頃、会社勤めをしながら生活費を切り詰めてせっせと貯金をしていた時期がある。しかし、それは、会社を退職してその資金で、受験勉強をして資格取得という目的があったからだ。つまり、生涯の仕事を得るためであった。それが「FIRE」は、どうしても安逸な生活を早くから営みたいだけのこととしか思えない。そういう若者は未だ少数派だとは思うが、生産に携わらないで生活をする者が増えたらこの国の未来はどうなってしまうのか?今は多様性を認める社会なのだからということなのか?どうも怠け者増産の世の中になりそうで恐ろしい。

 そういう若者が年を取った場合はどうするのだろう。資金は底をついてしまうかも知れない。病気や怪我のリスクもあるし、将来は何があるか分からない。それから働こうとしても身体が付いて来ないし雇うところもないだろう。投資だって必ずしも成功すると限らない。私の周りで株式投資をしている人は沢山居るが、一時期利益を出す時もあるものの、長い目で見ると大抵損をしているようだ。

 定年退職して仕事をしないと男性の場合は急に老化していく人が多い。私が知る、ある経営者は事業で成功し、立派な後継者もいるが、80歳近くなっても譲る気配がない。何故と聞くと、「譲った人は例外なくヨボヨボになっているのを見ているので怖い。今は仕事が面白くて仕方がない。」と言う。先日、漸く後継者に譲ったスズキの鈴木修会長は91歳でもあの元気である。若者は将来のために汗して働くべきだろう。そうするといわゆるマイルドヤンキーの方がよほど健全に見えてきた。