事務所通信

2017年2月21日

企業防衛保険について(6)

回は、前回に引き続きまして卸売業A社を営む経営者の突然の訃報に対して、生活防衛資金として支払うべき役員退職慰労金についてお話しいたします。

役員退職慰労金準備資金について

経営者の突然の訃報に対して、残された遺族の生活や相続を考えた場合、死亡退職金、弔慰金の支給は重要です。また、事前準備(財源の確保)をしていないと、後継者に負担をかけることになります。ここで重要なことは、不測の事態に備え、そのリスクに対してある程度の期間をカバーできる保障額の生命保険を付保することです。

作成例

資本金1,000万円、経営者の月額役員報酬80万円、在任年数20年、
従業員25名、

役員退職慰労金議事録、従業員退職金規定、弔慰金規定あります。

役員退職慰労金準備資金(社外流出)
①役員退職慰労金
80万円(報酬月額)×20年(在任年数)×3.2倍(功績倍率)=5,120万円
ご遺族の生活費や相続税納税資金の財源となる資金です。
功績倍率モデル:会長2.8社長3.2専務2.6常務2.0取締役2.0監査役2.0
※功績倍率モデルは参考例であり、損金性を担保するものではありません。
資本金、従業員数、職種などの要因により異なります。
②功労加算金(役員退職慰労金×0~30%)
会社発展にとくに功績があった場合に加算できる金額です。
③弔慰金
業務上の死亡の場合 80万円(報酬月額)×36ヶ月=2,880万円
業務外の死亡の場合 80万円(報酬月額)× 6ヶ月=  480万円
死亡退職金と別科目で支給することにより、遺族が非課税で受け取ることができます。
業務外死亡の場合は報酬月額の6ヶ月、業務上死亡の場合は36ヶ月分が支給可能です。

役員退職慰労金支給金額

5,120万円(①役員退職慰労金)+480万円(③弔慰金)=5,600万円

※功労加算金がなく、業務外の死亡の場合で計算しています。

本来生活のために備えるべき必要資金であることは事実ですが、生活資金の源泉は会社によって得られていることも事実です。当然、生活防衛資金の一部は会社が準備する責任があります。