事務所通信

2017年2月21日

今月の注目ポイント 速報:平成23年度税制改正の大綱

12月16日に平成23年度税制改正大綱が発表されました。 大綱によれば、デフレ脱却や雇用の確保などの観点から、国と地方を合わせた法人税の実効税率を約5%引き下げる一方、格差是正の観点から高額所得者や多額の財産を保有する資産家等を中心に増税の内容となっています。主なポイントをご紹介いたします。 【個人所得課税】 給与所得控除額の見直し その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万の上限を設けます。 収入金額 A 給与所得控除額 現 行 (具体例) 1,500万円 超 (1,800万円) A×5%+170万円 (260万円) 改正案 (具体例) 1,500万円 超 (1,800万円) 245万円(上限) (245万円) その年中の給与等のうち、給与等の支払者の役員等が、当該給与等の支払者から役員等の職務に対する対価として支払を受けるものの収入金額が2,000万円を超える場合の当該役員給与等に係る給与所得控除額については、次に掲げる区分に応じそれぞれに定める金額とします。 収入金額 A 給与所得控除額 2,000万円 超 2,500万円以下 245万円-(A-2,000万円)×12% 2,500万円 超 3,500万円以下 185万円 3,500万円 超 4,000万円以下 185万円-(A-3,500万円)×12% 4,000万円 超 125万円 ※上記改正は平成24年分以後の所得税及び平成25年分以後の個人住民税について適用 【資産課税】 相続税・贈与税の見直し 相続税の課税ベース及び税率構造について、次の見直しを行います。 ・相続税の基礎控除額の引下げ (現行)5,000万円 +(1,000万円×法定相続人の数) (改正)3,000万円 +( 600万円×法定相続人の数) ・相続税の税率構造 最高税率を55%(現行50%)に引き上げると同時に、税率構造を現行の6段階から8段階に改めます。 未成年者控除及び障害者控除を次のとおり引き上げます。 ・未成年者控除;20歳までの1年につき10万円(現行6万円) ・障害者控除 ;85歳までの1年につき10万円(現行6万円) なお、特別障害者は20万円(現行12万円) ※上記①・②の改正は、平成23年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用 暦年贈与(相続時精算課税制度の対象となる贈与以外)に係る贈与税の税率構造について、次の見直しを行います。 ・20歳以上の者が直系尊属(父母、祖父母等をいいます)から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率構造 最高税率は引き上げになりますが、贈与財産300万円から4,500万円までについては税率の引き下げがあり、財産を贈与しやすくなっています。 現 行 (税率) 改正案   (税率) 200万以下 10% 同左 10% 300万以下 15% 400万円以下 15% 400万以下 20% 600万円以下 20% 600万以下 30% 1,000万円以下 30% 1,000万円以下 40% 1,500万円以下 40% 1,000万円超 50% 3,000万円以下 45% 4,500万円以下 50% 4,500万円超 55%   ・上記以外の贈与財産に係る贈与税の税率構造 1,000万円超の税率を引き上げ、適用税率の刻みを多くしています。 現 行 (税率) 改正案   (税率) 200万以下 10% 同左 10% 300万以下 15% 300万円以下 15% 400万以下 20% 400万円以下 20% 600万以下 30% 600万円以下 30% 1,000万円以下 40% 1,000万円以下 40% 1,000万円超 50% 1,500万円以下 45% 3,000万円以下 50% 3,000万円超 55% 相続時精算課税制度の適用要件について、次の見直しを行います。 ・受贈者の範囲に、20歳以上である孫(現行は推定相続人のみ)を追加 ・贈与者の年齢要件を60歳以上(現行65歳以上)に引き下げ ※上記③・④の改正は、原則として平成23年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用 【法人課税】 法人税率の引き下げ 法人税の税率を次のとおり引き下げ、法人の平成23年4月1日以後に開始する事業年 度について適用します。 現 行 改正案 普通法人 30% 25.5% 中小法人 課税所得年800万以下 30% 22%(18%) 25.5% 19%(15%) 公益法人等 課税所得年800万以下 22% (18%) 19% (15%) ・「現行」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する事業年度に適用 ・「改正案」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用 欠損金の繰越控除制度 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を9年(現行7年)に延長します。 ※平成23年4月1日以後に法定申告期限が到来する法人税について適用 なお、詳細は下記ウェブサイトへ http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/h23zeiseitaikou.pdf