事務所通信

2017年2月21日

中小企業経営者のための一口メモ(6)

相続の割合はみんな一緒なの?
前回では相続人の範囲と順位について述べましたが、今回は相続人が複数いる場合に、各相続人がそれぞれどれだけの割合で相続できるのかという「相続分」について、述べさせて頂きます。

この相続分には、「指定相続分」と「法定相続分」があります。

○ 指定相続分とは亡くなった人が遺言で相続分を指定するものです。
○ 法定相続分とは民法で定められた相続分です。
○ 指定相続分は法定相続分に優先します。

従って、遺言書がある場合は遺言書に基づき遺産が分割されます。

遺言書がない場合、または遺言書があっても指定されていない遺産がある場合には、その全部または一部について法定相続分を適用することになります。

ただし、遺言で相続分を指定しても遺留分(民法1028条)を侵害することはできません。

遺留分とは、亡くなった人が自由に処分できる遺産の割合に制限を加え、相続人にこれだけは相続できる割合{相続人が直系尊属(亡くなった人の父、母)だけの場合は亡くなった人の遺産の1/3、その他の場合(相続人が亡くなった人の子供だけ、配偶者だけ、配偶者と子供、配偶者と父、母の場合は亡くなった人の遺産の1/2)}を認めています。ただし、兄弟姉妹には遺留分はありません。

※ 要するに、遺言書がある場合は遺言書によって遺産が分割されることになります。

また、遺言書がない場合は法定相続分をもとに法定相続人間の話し合いで遺産を分割することになります。

したがって、話し合いの結果、法定相続分と異なる割合で遺産を分割することもできますし、また1人だけの人が全財産を相続することも可能となります。

具体的な法定相続分の計算例については、次回で事例にもとづいて述べさせて頂きます。