事務所通信

2017年2月21日

中小企業経営者のための一口メモ(17)

危機に瀕しても不安な顔を見せない
3月11日東北地方を襲った大地震は、直後の大津波により、太平洋沿岸に未曾有の大惨事をもたらしました。被災された方々には心からお見舞い申し上げますと共に不幸にしてお亡くなりになった方には心より哀悼の意を捧げます。

特に津波に遭って亡くなった人は私の周りにも何人かいますのでその悲惨さは見に染みています。一方、九死に一生を得て助かった人もいますが、その誰もが異口同音に言うのは、「自分は運が良かった」です。確かに助かった場所の周りでは多くの人達が亡くなっていますので、「自分は死んでも不思議でなかった。でも何かの力で生かされたのだ」と思うのは当然なのでしょう。それが何なのかはそれこそ神のみぞ知ることです。このことについて私はコメントする立場ではありません。

この震災で多くの企業が被災し、再生するにはどうにもならないところまで追い詰められている経営者も多いことと存じます。私自身、震災当日、電気もなく、ラジオしか情報手段のない中で、聞こえてくる津波の大被害を聞きながら、自分の事務所も客が○割、売上が○割は減少するなと深い計算はないのですが直感で一瞬に覚悟しました。

今のところ未だそれほどの落ち込みまでには至っていませんが、今後、二次被害や引き続く原発被害等で、政府も行政も何らの対策を早急に講じないならば、私の覚悟が現実となる懸念は大です。これほどの災害は正に何百年に一度なのでしょうが、企業、特に中小企業にとってリスクは大小さまざまで日常茶飯事に起きていると言っても過言ではありません。

そういうリスクを恐れるのであれば経営者にはならず一生お勤め人でいればよいのです。少なくても一国一城の主となったからにはそういうリスクに対面することは多いと覚悟する必要があります。どんな危機でも遭ったら、先ず人間なので動じることはあるでしょう。でもすぐに気持ちを切り替えて覚悟を決めてしまえば次の動作に移れるのです。

いつまでもうじうじとして考えている暇とお金は中小企業の経営者にはありません。「危機よ、こんにちはそしてすぐにさようなら。さあ今日から対策を考えて頑張るぞ」と瞬時に切り替えることが必要です。先ず、トップは、心の中はどうであれ部下には絶対に不安な顔を見せないことです。

日露戦争で敵の大部隊に囲まれた日本の騎兵隊長秋山好古は少しも動ぜず弾の飛び交う塀の上に寝そべり、ウイスキーを片手にゆったりと指揮をしていたそうです。それを見た部下は狼狽することなく当時世界最強と言われていたロシアのコサック騎兵隊を蹴散らすことができたとの話があります。