大変!―その原因と対応
昨年以来のアメリカ発世界同時不況の影響は、我が国では主に輸出メーカーが直接の打撃を受けましたが、政府の必死の景気対策にも関わらず、この東北でもジリジリと企業業績を圧迫しつつあります。そういう経済環境下での企業経営は大変ですが、地元企業は、それでも何とか呻吟しながらも経営を継続しているのが実状です。
それでは日本はこのまま益々じり貧になってしまうのでしょうか?
我が国の再生策はあるのか、その際のキーワードは何か?その回答の一助にするため、今回の本は「大変!その原因と対応」を選びました。著者の大武健一郎氏は、国税庁長官を最後に退任されたいわゆる大蔵省(現財務省)のエリートです。私は国税庁次長時代からの大武氏を知っていますが、いわゆるエリート臭のない、大変気さくで、お酒が大好きな、しかし国を思う気持ちは人一倍強い素晴らしい人柄です。また、これからの日本はアジアのために尽くすべきとの持論で、タイやインドネシアに複式簿記の普及活動をしたり、ベトナムに税理士制度を作ったりと正に手弁当での活動を続けています。天下り先は沢山あるであろうに今般TKC全国会の会長に就任したのも、租税正義を標榜するTKC理念に共鳴したことが大きいようです。かつての「不撓不屈」でのTKC創設者飯塚毅税理士と当時の国税庁との闘争を思うと隔世の感を禁じ得ません。
先日、著者の大武氏と懇談する機会がありましたが、氏もアメリカ型規制改革には批判的で、今こそ日本の良さを見直すべきとのことで意見が一致しました。