書評

2017年10月11日

利他のすすめ~チョーク工場で学んだ幸せに生きる18の知恵

  • 書籍名: 利他のすすめ~チョーク工場で学んだ幸せに生きる18の知恵
  • 著 者: 大山泰弘
  • 出版社: WAVE出版

前から心に掛かっていた「日本で一番大切にしたい会社」として多くのメディアで紹介されていた黒板チョークの製造、日本理化学工業(株)の大山康弘会長さんが自らの体験から学んだことを「利他のすすめ」として今年4月に刊行しました。ここには同社が身体障害者を雇用したことからご自身が多くのことを学び、会社の雰囲気も素晴らしく変わっていったことが書かれています。

特にバブル崩壊以後自らの利益を追求することのみに汲々としてギスギスした社会になっていたのが、震災を契機に、日本人が本来持っている他人を思いやる気持ちが戻ってきたと言われています。今回の震災は正に千年に一度の大惨事ではありますが、私は色々な意味で日本の「リセット」と考えました。日本人には、どうも激しい競争社会は合わないのではないかと考えます。例え利益追求が目的の企業であっても、単に自分の利益のみの追求ではなく、他への利益も考えた行動が求められているのではないでしょうか。

仏教に「自利利他」の教えがあります。「自利利他」は当事務所が所属している職業会計人の団体、「TKC全国会」の理念でもあります。これは相手に利益を与えれば自分にも利益が返ってくると言うような意味ではなく、他への利益そのものが即自分の利益というような哲学的な命題です。しかしあまり難しく考えず、大山会長さんの文を読んで頂きたいと存じます。